会場・夢洲は「一般的な埋め立て地と違う」「対策しなければ建物は傾く」かさむ“追加費用”

そもそも開催地は、なぜ夢洲になったのか。

当初、万博の候補地に夢洲は上がっておらず、別の6つの場所で検討が進められていた。

そこに2016年5月、当時の松井大阪府知事が夢洲を万博の候補地とする考えを示した。

この夢洲には、カジノを含む統合型リゾート施設=IRの計画がすでにあったが、万博はその隣で開催するという。

松井一郎 大阪府知事(2016年5月)
「やれる場所があるから、更地があるわけです。(万博候補地の)一つのプランとして夢洲」

大阪府の提案を受け、国がさらに検討を行い、2017年、政府は夢洲を会場とした万博誘致を決定した。

夢洲への道路や鉄道、上下水道など、インフラ整備にも多くの費用がかかることになる。

藤永さんが大阪市に情報公開請求を行い、入手した資料によると…

おおさか市民ネットワーク 藤永延代代表
「(1129億円…)インフラ整備の費用として、2350億円とは別ですよ」

インフラ整備のための費用として、1129億円。そのうち国が150億円、大阪府が10億円、大阪市が806億円負担するとされている。

この費用について、大阪市の担当者は…

大阪市の担当者
「万博の開催に合わせて整備しているが、あくまでも鉄道や道路などは将来のまちづくりに必要な整備」

Q.万博に関わる費用ではないんでしょうか?

大阪市の担当者
「万博の関連にかかる費用という側面もある」

このインフラ整備の費用も、当初の見込みより膨れ上がっている。

2021年の試算では974億円だったが、現時点で1129億円に。中でも、夢洲に地下鉄を伸ばすための整備費は96億円の追加費用が必要となった。

費用がかさんでいる理由の一つが、地盤の問題だ。

これは、夢洲を所有する大阪市が万博協会に土地を貸し出すという契約書。「将来、地盤沈下の発生が予想されることを承知のうえ本契約を締結」と明記されている。

この軟弱な地盤を問題視する藤永さんは、以前から夢洲を何度も訪れ、様子を見てきた。

おおさか市民ネットワーク 藤永延代代表
「こんなんでしたね。明らかにごみが入ってたって」

村瀬健介キャスター
「これは確かにごみですね」

おおさか市民ネットワーク 藤永延代代表
「ごみでしょ」

夢洲は1977年から埋立事業が始まった人工島だ。大阪市内で発生した廃棄物や、海底を掘り起こした土砂などで埋め立てられている。

藤永さんが大阪市から入手した資料によると、万博会場となる夢洲2区の地盤は測定開始後34年間で4.8メートル沈んでいることがわかる。

おおさか市民ネットワーク 藤永延代代表
「軟弱だということ。上にごみ置いたぐらいで沈む」

元々、大阪湾の海底地盤は柔らかく地盤沈下を起こしやすいが、夢洲には特有の問題があると地盤工学の専門家は話す。

芝浦工業大学(地盤工学) 稲積真哉教授
「夢洲の場合は、そもそも人工島を作るっていう概念ではなくて、あそこに廃棄物の処分場をつくるという概念ですので、一般的な埋立地と夢洲の埋立地は、そもそも大きな違いがある。地盤が柔らかいのと同時に不均質ですので、柔らかさがまた違う。何も対策をしなければ建物は傾く」

大阪市は地盤対策を進めているという。

さらに万博協会は取材に対し、地盤沈下しないような基礎工法を採用していて「地盤沈下が加速することはない」と答えた。

また、木製リングが水上に張り出した部分には、長さ50メートルの鋼管などを地中に埋め込み、リングを支えるという。

芝浦工業大学(地盤工学) 稲積真哉教授
「地盤として万博に耐えうる、そういった整備は必要不可欠、最低限」