「5億円使えば当選するが4億円では落選」
国会議員には月に130万円を超える歳費に加え、度々問題になる月100万円の文書通信交通滞在費(いまは調査研究広報滞在費と改名)、その他立法事務費、公設秘書給与などなど、1年に7500万円近いお金が支払われている。もちろん税金からだ。
それでも献金を集め、資金集めのパーティーを催す。そもそも何故、そんなにお金が必要なのか?その問いに石破議員は選挙を語った。

自民党元幹事長 石破茂 衆議院議員
「私たちはロッキード事件を覚えてる世代なんですよ。議員になったばっかりの頃は、リクルート事件の嵐が吹き荒れていた。私当選12回なんですが、あの時の怖さを知っている。でも当時の自民党に対する風当たりのキツさ、それを覚えてる議員はほとんどいなくなった。リクルート事件の時、私たち当選1~2回の議員で、亡くなった武村正義さんを座長に、逆説的な言い方なんだけど『ユートピア政治研究会』っていうの作って“(政治は)何でこんなに金がかかるんだ”って…。当時一人当たり1億円以上かかっていたからね。で、それは中選挙区制だからだって…。同じ選挙区で同じ主義主張を持った自民党同士が争うから金がかかるんだ、と。事務所も多い方がいいし、秘書さんも多い方がいいし…。で、自民党同士が争わなくていいようにしようねって小選挙区にしてやってきた。で、実感として思うんだけど、かかるお金は確かに少なくなった。当時は“5当4落”って言われたんですよ。5億円使えば当選するが4億円では落選だって。私最初に議員になる時、(田中)角栄先生に言われましたもん。『なんでお前みたいな奴が自民党から選挙に出られると思うか。親のおかげで名前が売れてる、だから名前の売り賃がお前はタダなんだ』あるいは『親のおかげで信用代がタダなんだ。それだけ安く出られるんだぞ』って」
小選挙区になってかかるお金は半分以下になったと思うと石破氏は言う。それなのに今もみんな、お金集めに一生懸命なのは何故か聞くと、「よくわかんない」と石破氏はうなだれた。
そこで石破氏と同じ世襲議員でありながら“金のかかる政界”が性に合わないと既に政界を退いた亀井善太郎氏に話を聞いた。父親は元運輸大臣の亀井義之氏だ。
会社員だったが、父親の他界を機に、いわゆる地盤・看板・かばんを引き継ぎ出馬。当選後は地元スタッフもそのまま引き継いだという。

元衆議院議員 亀井善太郎氏
「政治団体もスタッフも全部引き継ぎました。引き継ぐものには、資産もあれば負債もあるっていうことだと思う。(中略~すべて引き継ぐのは)当時1期生の資金力からするととても負担でした。十数人の人件費、それぞれみな家族ありますから…。子供もいるし…(中略)支援いただいていた団体の方には『お父さんの時にはこのぐらいですからうちの中の決済ではそれが通るんです』『お父さん大臣経験者だからこのくらい出せますがあなたは1期生だから…』これはもう耐え忍ぶしかないんだって。正直自分のお金随分入れましたよ」
いろいろと有利な世襲議員でも政治はお金がかかるという。だが世襲議員について相続をめぐる不公平が浮き彫りになっている。














