「ガザと共存できる」姉弟の思い

一方で、ネタニヤフ政権の姿勢を支持しない市民も多い。

ガザから2㎞、ハマスの襲撃により子どもを含む多数の遺体が発見されたイスラエルの集落「クファル・アザ」

ハダースさんは襲撃当日、母親と弟が住む実家に帰省中だった。

ハマスに襲撃を受けた ハダースさん
「突然、ハマスが家に入ってきてセーフルームのドアを開けようとしました。そこで、弟がドアノブを強く掴み、開かないようにしてくれました。私も後ろから弟の手を支えました」

家族の命を守ったのは弟のタルさんだった。だが、その後タルさんは負傷した住民を助けるために、危険を顧みず家を飛び出し、ハマスに殺害されたという。

生前、タルさんはパレスチナの人たちとお互いに尊重しながら平和に暮らす未来を信じていた。

ハマスに襲撃を受けた ハダースさん
「彼はガザと共存することが出来ると信じていました。ガザに近いこの場所(クファル・アザ)では共存できると」

ハダースさんは弟をハマスに奪われてもなお、イスラエルはガザと共存できるとしてイスラエル政府を非難している。

弟をハマスに殺害された ハダースさん
政治家たちは市民の声を代表していません。多くのイスラエル人が政府とは違う考えを持っています。ハマスの指導者もイスラエルの指導者も市民にとって良いことをしているとは思いません」

ネタニヤフ政権への支持は決して高くない。世論調査によると、政権を信頼すると答えたユダヤ人の市民は軍事衝突前の6月で28%衝突後の10月23日には20.5%となった。