「神様の民族を救え」
アブラハムさんには7人の子供がいる。避妊や中絶を禁止する教えや旧約聖書に書かれた
「産めよ、増えよ、地に満ちよ」との教えを守る。子どもは多い方が良いとの考えが一般的だ。

超正統派の出生率は平均6.7人。イスラエル全体の出生率の3倍だ。2065年までにイスラエルの人口の3分の1を超正統派が占めるとの予測もある。
食事は「コーシャ」と呼ばれるユダヤ教の教えに基づいている。キッチンや調理器具も、それに対応している。

超正統派 アブラハムさん
「シンクは2つあります。肉と乳製品は一緒に洗ってはいけません。ナイフやフォークなどもそうです。同じ物を使えないため、肉用、乳製品用とわけています」
また、安息日となる毎週金曜日の日没から翌日の日没まではいかなる労働も禁止される。
超正統派 アブラハムさん
「土曜日の日没までは、このタイマーをセットして、ホットプレートを温めて食事を保温しておきます」

安息日は電子機器の電源を入れたり、操作したりすることさえ教えに反すると考えられ、事前に家電のタイマーを作動させて1日を凌ぐという。さらに…
超正統派 アブラハムさん
「ホームページなどは見ることができません。メールしか使用できないのです」
インターネットやテレビからの情報は信仰を妨げる危険なものとされ、街中の壁新聞から情報を収集している。
アブラハムさんは今の戦いをどう見ているのか。

超正統派 アブラハムさん
「ガザの平和のために、ネタニヤフ首相はパレスチナの人に、仕事など多くの支援をしてきました。しかしその結果起こったのはテロ行為でした。絶え間ないテロです。繰り返されるロケット攻撃です。だからハマスを根絶しないといけないのです」
アブラハムさんがユダヤ教の教会・シナゴーグの中を案内してくれた。
超正統派 アブラハムさん
「毎日3時間から4時間祈る人もいます。イスラエルを狙うハマスを根絶するために祈っているのです」

頭に付けている黒い箱は「テフィリン」と呼ばれるものでこの箱の中には、聖書の言葉を記した紙が収められている。
ユダヤ教徒は1日3回、決まった時間帯に祈りを捧げる。さらに追加で礼拝に来る人も多く、今人々の祈りの中心にあるのは、イスラエル軍の全面勝利だという。

祈りに来た人
「いま祈ることはイスラエルがテロ組織ハマスを完全に倒すことです。そしてイスラエルの兵士が全員無事に戻ることです」
旧約聖書にはパレスチナ自治区を含む地域も神がユダヤ人に与えた約束の地と記されている。聖書の教えに忠実な人々にとってガザやヨルダン川西岸は自分たちの土地だという、強い信念があると専門家は話す。

東洋英和女学院大学 池田明史 名誉教授
「宗教的に見れば、ユダヤ教の本来のゆかりの地なんですね。イスラエルにゆかりの地だからこれはイスラエルとして取り戻さなければならないという立場」
ただ超正統派の人たち全てがパレスチナに対して強硬姿勢というわけではない。ロンドンなど海外では超正統派の人たちがパレスチナ連帯を示し、デモに参加している。だが、イスラエルの中ではこうした考えの超正統派は少ないという。