9つ上の姉は遺体も見つからず 母は仏壇の前で謝っていた

福山市に住む大村宏子さん(82)です。9歳上の姉で、市女の2年生だった藤井満里子さん(当時13歳)を原爆に奪われました。当時4歳だった宏子さんに満里子さんの記憶はありません。それでも家族からは年が離れた宏子さんをとてもかわいがっていたと聞かされていました。

大村宏子さん
「私は団子鼻なんですよ。兄も団子鼻でそれで私の鼻の穴が三角だったから歌を作ってくれたっていってね。だけど、私は残念ながら『三角の鼻の穴の歌』は全然知らない」
8月6日、宏子さんは母たちと爆心地から2.5キロの自宅にいました。大きなケガはありませんでしたが、満里子さんだけは帰ってきませんでした。爆心地近くで建物疎開に従事していた満里子さんは、遺体も見つかりませんでした。
唯一見つかったのが当時使っていたかばんでした。満里子さんの母は、亡くなる3か月前に原爆資料館へ寄贈するまで、このかばんを大切に持ち続けていました。

大村宏子さん
「仏壇の引き出しに、カバンが入っていたたみたいですね。小さな仏壇の前で『満里子ちゃん、ごめんね、満里子ちゃん、ごめんね』ってね、母は謝ってた」