パレスチナ国家樹立という“夢” 「ガザ占領は同じ過ち繰り返すことに」

そのうえで、いまネタニヤフ氏らが繰り返し主張する、ガザ占領の可能性については、「同じ過ちを繰り返すことになる」と警鐘を鳴らす。

「ハマスは『イデオロギー』なのです。軍事力でイデオロギーを打ち破ることはできません。彼らは経済の向上や教育の向上のためだけに命を落としているわけではありません。パレスチナ国家を作るために、何千ものパレスチナ人が命を落としているのです。もし私たちが彼らに夢を与えなければ、ハマスは何度も生まれ変わることになるでしょう。そして、ハマスの歴史は繰り返されます。もし私たちが彼らに夢を与えなければ、そして占領や封鎖の終わりを見届けなければ、私たちは、もっと過激で、もっと残酷なものを目にすることになるでしょう」

アヤロン氏の言う「パレスチナ人の夢」とは、パレスチナ国家の樹立を意味する。パレスチナ国家樹立を目指した1993年のオスロ合意で差し込んだ一筋の光も、その後、この合意に反対する勢力による暴力の応酬が繰り返された。和平への道は途絶え、国家樹立はおろか、イスラエルの占領や封鎖は終わらせることができていない。アヤロン氏は、この合意に立ち返る必要があると考えている。
そして同時に、歴史的に長く迫害され、やっとの思いで悲願の「国」を築いたユダヤ人も「現実を直視するべき時」だと話す。

「イスラエル国家を作るという、私たち祖先が代々継いで来た夢の一部を、私たちは変える時にきています。なぜなら、その夢は、この土地すべてが私たちのものであるという考えに基づいているからです。私たちはそのような物語を変える必要があるのです。私たちがユダヤ人として生き残り、アイデンティティを維持できる唯一の物語は、これまでと別の物語になるでしょう。そして、その別の物語には、この土地が私たちのものであると同時に、私たちだけのものではないということが書かれなくてはならないのです。私たちのものであり、彼ら(パレスチナ)のものでもある、ということです」