失うものを持つことで生まれる抑止力 2国家安定の基盤とは

占領でもなく、封鎖でもない。イスラエルとパレスチナが国家として共存すること。「イスラエルが安全に、脅威なく存続する道はそれだけだ」と何度も、力強く繰り返した。
「この土地を分割して 2つの国家の現実を作り出すこと。それはこの地に安定をもたらすことにもなるでしょう。なぜならそうすることで、パレスチナ人は初めて、失うものを持つからです。失うものを持つとき、抑止力が生まれます。失うものを持たせることだけが、抑止力を作り出せるのです。『失うものは何もない』と考えた敵が起こしたことこそが、10月7日に目にしたものです。安定し、安全な未来の基盤は、軍事力だけではつくり得ません。政治的な合意が必要なのです」
インタビューは1時間半に及んだ。終盤、アヤロン氏はおどけるように「私は元来、夢想家なんです」と笑ってみせた。しかしすぐに表情を変え、「ただこの問題については、最も現実的に考えていますが」とも付け加えた。