その場にいるかのように振る舞う…
下立地区でも伝承している家が少なくなり「おおべっさま迎え教室」では、伝承者として、柳原欣一さんと山口幸子さんが、もてなしの仕方、料理の供え方など “神を迎える作法と心構え” を説きました。

現在の作法では、まず玄関の戸を開いて「おおべっさま」を迎え入れ、いろりの上座で暖まってもらったあと「お湯が沸きましたからお入りください」と風呂へ案内します。
入浴の間にご膳を整え、神棚下の座布団の前に供えたあと、頃合いを見ておおべっさまを席に迎えます。ご膳には煮物や二股大根、尾頭付きの鯛…。それらを前に家の主人が「今年はたくさんの米と畑のものがとれました。ゆっくり召し上がってください」とあいさつして酒をつぎます。
以上がおおまかな “おおべっさま迎え” の流れですが、家によっては風呂の扉越しに「湯加減はいかがですか?」などと問いかけたり、お酒をつぎながら世間話をしたりなど、家ごとに伝わるバリエーションがあるということです。おおべっさまのもてなし方は時代によって変化していて、大事なのは “その場にいるかのよう” に心を込めて振る舞う事だそうです。


正月20日まで滞在されることになっている “おおべっさま迎え”。正式には「越中の田の神行事」として昭和58年12月16日、国の記録作成措置を講ずべき無形の民俗文化財に選択されています。

おおべっさま迎えは11月20日、伝承地域の各家で行われます。
※すべての写真提供:黒部市生涯学習文化課