「病院は戦場ではない」助けられる命も助けられない
井上キャスター:
どこの紛争地でも情報の精査は大変難しいものですが、アメリカとイスラエルはここに地下トンネルがあると、ずっと主張していています。制圧したのであれば、その映像を証拠として公開するはずですが、それを公開していないのはなぜでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
情報機関同士のやり取りでは、地下トンネルは本当にあるらしいのですが、それがどのように使われていたのか、最近はどのような活動をしていたのか、全く発表されていません。
しかし、どんな理由があっても、病院を攻撃するなんて許されることではありません。
今回の攻撃による、市民を巻き込んだ犠牲者は、イスラエル犠牲者の10倍といわれています。明らかにイスラエルの過剰防衛という段階に入ってきているのではないでしょうか。
井上キャスター:
中核病院の機能が停止してしまいましたが、医療はどのような状況でしょうか。

国境なき医師団 白根麻衣子さん:
厳しい状況だと思います。助けられる命も助けられないという声を、私達のスタッフからも聞いています。ここが動いていないということは、もう他の病院ももっと早い段階で動いていないと考えられます。
ホランキャスター:
現地スタッフの方々とコミュニケーションは取られていますか?
国境なき医師団 白根麻衣子さん:
SNSを使って出来る限り連絡をしていますが、ガザは今、インターネットや通信の状況が悪いので、送ったメッセージがもう一昨日くらいから届いていない状況です。

加藤キャスター:
病院への軍事攻撃は、国際法の観点で見ると「国際人道法」違反になります。ただ例外として▼「医療上の目的を逸脱」▼「戦闘配備先として利用」の場合に限り“許容される”ケースもあるそうです。
WHOのテドロス事務局長は15日の会見で「病院は戦場ではない」と話しています。また同じ日に、国連の安全保障理事会では「人道的停戦などを求める決議案」が採択されました。日本など12か国が賛成、アメリカ・イギリス・ロシアは棄権しています。
ホランキャスター:
一枚岩になれないところが、とても苦しい気がします。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
日本が支援・支持をしてきた同盟国であるアメリカのスタンスが、今回は国際社会の中で明らかに少数派の立場になっています。これだけ悲惨な事態を毎日のように目の当たりしていると、アメリカがイスラエルを徹底的に支援するのは、もう限界に来ているのではないでしょうか。
日本はパレスチナと関係を築いているので、パレスチナの立場から色々な発信をする時期に来ていると思います。
井上キャスター:
今、ガザに必要なものは何でしょうか?
国境なき医師団 白根麻衣子さん:
停戦です。停戦がないと物資も運び込めない、医療活動も続けられない。本当に停戦が必要だと私は感じています。(物資は)食べ物、飲料水、あと燃料です。ガザはインフラ設備が不自由な場所なので、燃料がないと発電機が動かせず、電気も使えません。もう本当にどうすることもできない状況です。