直木賞作家・桜木紫乃さんと「ドキドキ・ピリピリしながら」紡いだ1冊
文章は、2013年「ホテルローヤル」で直木賞を受賞した、小説家の桜木紫乃さん。北海道で筆を執る桜木さんと、岡山を拠点とする中川さん。東京の編集者がそれぞれにオファーし、約半年やりとりを重ね仕上げたといいます。

(作家・桜木紫乃さん)
「ものすごいドキドキ・ピリピリしながら、お互い作っていたというのは間違いないです」
「中川さんから『小説家なんだから、ストーリー性のあるもので』って言われたんです。そこで全ていちからやり直し」

ーやりなおし?中川さんの一言で?
(作家・桜木紫乃さん)
「一気にゼロベースになって。私は『ストーリー性のあるものに』って言われたときに、どんな長いものも、300枚のものも30枚のものも10枚のものも同じぐらい、同じ気の遣い方をしないといけないので」
「『ストーリー性のあるもの』といえば小説なので、この絵本の分量で小説と同じ働きをさせないといけない。その文章を削ったり足したり。それを一からやったんですよ。やったんだよ!(笑)」
(写真家・中川正子さん)
「恐縮です。最初に書かれていたものがもっと短い詩のような」
(作家・桜木紫乃さん)
「限りなく『散文詩』に近いものだったんです。ストーリーのないものだったんですね」
(写真家・中川正子さん)
「なんせ私は『桜木紫乃のコアファン』みたいな感じになっていたので、『桜木紫乃の物語をもっと読みたい』という気持ちが炸裂してしまって」

桜木さんのストーリー 「説明しすぎず、離れすぎず」撮影
そうして完成したのは、長年ともに暮らした猫を亡くした女性など3人の物語。桜木さんが手掛けたストーリーが、中川さんの写真と響き合います。


(写真家・中川正子さん)
「原稿が先に上がっていたので、それを説明しすぎないように、でも大きく離れすぎてひとりよがりにならないようにっていう塩梅が難しかった、というより気を遣った部分ですね」
「たとえば、猫が出てきます。でもその猫の全貌を私がうつしとってはいけないと思っていて。読者の想像力を奪ってしまうから」
(作家・桜木紫乃さん)
「イメージは、あの写真【画像⑫】はぴったりでしたね」
