久保田長利さん:
「昭和の初期、昭和3年~8年、前(くらい)。形を(ドームのように)丸くするのは面倒だったから、この製品の寿命ってのは非常に短くて、このもの自体は数がそんなに世の中、出回ってないんですよ」

ドーム型のラジオのあと主流になったのが「箱型」。

戦前から高度成長期にかけ、個性的なラジオが次々と生まれました。


これらはすべて「真空管ラジオ」と呼ばれるもの。

真空のガラス管の中で金属板を熱し、電気信号を増幅することで音が出る仕組みです。


久保田さんは壊れたラジオをインターネットオークションなどで手に入れては修理をしてきました。

「これです」

持ってきたのは修理をする前の古い真空管ラジオです。

久保田長利さん:
「ボロボロ。もうゴミだね」
(これは直るんですか?)
「直るよ。1回全部ばらして、もう1回組み立てるわけだから、直るよそりゃ。かわいそうじゃんこれ、これ」

90年以上も前のドーム型のラジオ。

本当に音が出るのか心配しましたが、中低音が強く、くぐもった感じながらも、どこか柔らかな音が流れてきました。

久保田長利さん:
「これボリュームじゃなくて、中で電波循環させてるんだけど、その循環の調整なんですよ」
「ボリュームがないラジオだからね世の中がね、ものすごく静かだったの。その昭和の時代ってこういうラジオで十分聞けたんだよ」

久保田さんが修理した真空管ラジオは400台にも上ります。