「先輩が夜中にドアを殴りに」 元タカラジェンヌ 東小雪さんが語る宝塚の“上下関係”
小川キャスター:
そこにも繋がってくるかもしれませんが、東さん、この報告書に入っている内容をご覧になって在籍当時のことを思い出すことというのはありますか。

元タカラジェンヌ 東小雪さん:
たくさんあります。本当に遺族の方の訴えを拝読して、本当にその通り、どんなことがあったのか、もう思い浮かぶ気持ちでいます。
(宝塚)音楽学校に入ると、1年目が予科生(=下級生)、2年目が本科生(=上級生)という上下関係なんですけれども、予科生に入ると本当に寝られない、お風呂にも入れない、食事もとれない。
そんな状態で寮の一室の小部屋、お話部屋というところにずっと軟禁状態で集められて、先輩が夜中にどんどんとドアを殴りに来るんです。呼び出されて廊下で立膝をして「すみませんでした。すみませんでした。すみませんでした」と謝り続けたりします。
藤森キャスター:
何に対して謝らなければいけないんですか?

元タカラジェンヌ 東小雪さん:
それは失敗だというふうに本科生(=上級生)から指摘されたことです。「名札が曲がっている」「態度が悪い」「靴下の上下のラインが揃っていない」「笑顔が見られた」「口角が上がっていて笑い顔だ」。何でもいいんです。
予科のルールができていないと、その反省文を作って夜通し暗唱しなければならなかったり、謝り続けるようなことがあって、そもそも予科生(=下級生)は、「はい」(しか言えない)。「いいえ」はほとんど使いません。「ありがとうございました」「すみませんでした」「お疲れ様でした」「おはようございます」。この予科語と言われる言葉以外は、1年間話せないんです。
なので、礼儀正しく本科生に接するといった次元の問題ではなくて、ずっと𠮟責、厳しい指導、廊下に呼び出されて怒鳴られるなど、そうした厳しい指導が(宝塚)音楽学校ではずっと続いている。
そこでもう一つ大切なのは、私も本科生(=上級生)になっているんです。1年経ったら、みんな本科を経験して、今度は加害側に回って、そのとき「自分たちは厳しい“指導”をしているんだから大丈夫」というか、それは必要なことなんだと。
小川キャスター:
加害という意識はない?
元タカラジェンヌ 東小雪さん:
ないです。悪いことだと思えなくなってしまうんですね。そういう経験をした人たちが劇団に入ってる。これは残念ですが、スターさんも、卒業生も、役がついた人も、つかなかった人も、どの人も全員本科生で、「指導」をする経験をして、入団をしているんです。