元タカラジェンヌ 東小雪さん「“厳しい”ではなく、“おかしい”じゃないかと疑問をずっと持っていた」

藤森祥平キャスター:
なぜ女性が亡くなってしまったのかという一番大事な部分を考えながら進めていきます。
14日、宝塚歌劇団側の外部調査チームによる調査報告書が公表されました。焦点になったのはパワハラ・いじめについてです。
亡くなった女性(25)は、▼上級生からヘアアイロンを故意に当てられ火傷を負ったり、▼「嘘つき野郎」「マインドがないのか」などの暴言を受けていたと、遺族側が訴えていました。
ところが、14日、宝塚歌劇団の外部調査チームは、▼上級生からのいじめやハラスメントは確認できなかったと結論づけました。
これについて遺族の代理人弁護士は、▼事実関係を再度検証し直すべきだとしています。
小川キャスター:
この会見の中で、宝塚歌劇団側はハラスメント・いじめはなかったと、そうした認識だという結論になりましたね。

元タカラジェンヌ 東小雪さん:
宝塚の中には、もともと厳しい上下関係と言われている中で、ただ厳しいわけではなくて、私は(宝塚)音楽学校であったり、(宝塚歌)劇団に在団しているときに、「これは“厳しい”ではなく、“おかしい”んじゃないか」という疑問をずっと持っていました。
それが今の言葉に当てはめると、パワーハラスメントであったり、まさに暴力の構造が残っていたんですね。私がいた17年前から、声を上げ始めたのが十数年前なんですけれども、そこから形は変わったり、寮の設備が変わったり、劇団の設備が変わったり、多少の変更はあっても、本質的には変わらなかったことが今回の件に繋がってしまったのではないか。私は、そういうことが背景にあると思うので、もう本当につらいです。

藤森キャスター:
14日の会見でいじめ・パワハラはなかったと言っている一方で、発表された報告書では、ヒアリングの結果、亡くなった女性(25)は、▼親しいメンバーに対し、「上級生についていけない、叱られるのが嫌だ」と述べていた。
さらには、▼家族に対し、「とにかくずっと怒られているから、何で怒られているのか分からない」と語っていた。そういう事実は確認できたと言っているんです。
つまり、上級生からの指導・𠮟責が大きな負担に感じていたことは、認めているということなんです。
小川キャスター:
これは報告書に入っている内容ですよね。ただパワハラではないというのは、斎藤さん、ちょっと釈然としないところではあるんですよね。

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
(釈然と)しないですね。これを読んで私が最初に思い出したのが、ビッグモーターの(当時の)副社長の「死刑、死刑、死刑」というパワハラLINE。あのようなよくわからない怒り方をして相手を追い詰めていくという手法ですよね。
もう1個思い出したのは、やはりジャニーズ問題。若い子たちを最初から社会から隔離された世界の中で訓練・教育をしていくという中で、若い人に「それが当たり前、これを受け入れなきゃいけない」という環境を作り出すことが、場合によってはいじめ・パワハラの温床になっていたのではないかということ。
なので、今年(2023年)だけで、こんなに3つも4つもあるわけで、やはり日本全体の人権問題としても考える必要があると思います。