重篤な副反応の報告7000以上…国が後遺症と認めたのはゼロ

 厚生労働省によると、これまでファイザー社製とモデルナ社製の新型コロナウイルスワクチンを接種した後に、重篤な副反応があったと医療機関から報告された事例は7276例。しかし、その症状が『ワクチン後遺症』と認められたケースは1例もない。
16.jpg
 さらに、厚労省のホームページにはワクチン接種後に死亡した人が1726人いると記載されているが、そのうち99.3%が「γ」と記載されていて、「情報不足等によりワクチンと死亡との因果関係が評価できないもの」とされている。つまり国は公的にはワクチン後遺症を認めていないのだ。

副反応検討部会の部会長「因果関係は検証しにくい」

 国が認めていない『ワクチン後遺症』。本当に患者たちの症状と因果関係はないのか?今回取材班はワクチン副反応について国の副反応検討部会で部会長を務める森尾友宏医師に話を聞くことができた。

 (厚労省・副反応検討部会 森尾友宏部会長)
 「副反応検討部会で毎回、重要な副反応だなという形で検討させていただいているのは心筋炎・心膜炎という副反応です。脳出血や突然死の方とか、心筋梗塞みたいな形であがってきている。もちろん重篤なものとしてあがってきているんですけれども、これに関しては因果関係についてなかなか検証がしにくくて」
18.jpg
 ワクチンの副反応を巡っては、国は複数機関でチェックを行っている。副反応の疑いがあるケースが出た場合、まず医療機関や製薬会社からPMDA(医薬品医療機器総合機構)という国が委託する機関に報告が上がる。PMDAで患者の病歴やワクチン接種との関連など情報の精査が行われる。さらに外部の専門家が因果関係を評価した後、最終的に厚労省の検討部会で検証されるのだ。
19.jpg
 (厚労省・副反応検討部会 森尾友宏部会長)
 「いろんな疾患がありますけども、ワクチンを打たれて数時間後、1日2日後に何か症状が起きた時、この時間的な関係性と、打ったことによってこういう症状が出たという関係性は、全く別のものだと考えていただいていいんじゃないかと思うんですね。因果関係を解明するのはやはり統計学的な手法だと思います」

 検討部会の森尾部会長は、顕著な心筋炎・心膜炎以外は症例が少なく、現状ではワクチンとの因果関係を解明するのは難しいと話した。