■ 検察は『懲役6年』弁護側は『無罪もしくは執行猶予』求める

裁判のなかで検察側は──

● 「被告が犯行時に心神耗弱だったことは否定できない」としながらも、犯行の最中に起き上がってきた祖父に対し「いいから、いいから」と言い、犯行を隠すような素振りを見せたことなどから「判断能力が完全に失われていたわけではない」
● 当時91歳の高齢者に対して執拗に強度の暴行を加えており、粗暴・危険で悪質
● 被害者の理不尽な行動は認知症に起因し、落ち度はない
● 事件の背景として『介護のストレス』はあったが、行政に相談する方法もあり、一人で抱え込むほど追い詰められていたわけではない
などとして「親族が厳罰まで求めていないことを考慮しても実刑をもって臨むべき」と指摘し、『懲役6年』を求刑しました。

一方、弁護側は──

● 被告は被害者から「食べていない。食べさせろ」と何度も罵られるなど、介護のストレスから精神障がいを発症。そのため「ばあちゃんが悪魔に見える」「認知症が始まって昔のばあちゃんと違う。呪われている」などと思い込んでいた
● 被告は犯行時、善悪を判断する能力や犯行を思いとどまる能力が失われた『心神喪失の状態』にあった疑いが残る
などとして『無罪もしくは執行猶予付きの判決』を求めました。

最後に、裁判長が被告に「最後に言いたいことはありますか?」と尋ねると──
被告は裁判員に対して「自身の精神状態に関わらず、起こした結果は重大」とした上で「厳しく処罰していただければと思います」と訴えました。

現在は、被告の精神状態は安定しているということです。
判決は7月6日に言い渡されます。

▼判決を受けた記事
「祖母殺害は介護に追い詰められた」”心神耗弱”と認定し孫(37)の刑の執行を猶予