■ 「ばぁちゃんは悪魔」争点は責任能力”心神耗弱”か”心神喪失”か

検察が示した『犯行状況』

▽ 午後6時頃
被告は被害者に夕食を食べさせ、祖父・被告はそれぞれ寝室に戻った。
その後も、祖母が「食べさせろ」と繰り返したことから「ばぁちゃんを殺せば介護をしなくて済む」と殺害を決意。
被害者の寝室で「分からずや」と言いながら顔面を複数回、殴打。
仰向けの祖母を寝室から玄関先まで引きずりだした。その際、祖父が身体を起こそうとしたのを見て「いいから、いいから」と言ってとどめた。
玄関先で祖母の上半身を複数回、踏み付け・殴打。うつ伏せにして背中を複数回、踏みつけた。

暴行後、祖父や親族のことなどが頭に浮かんで後悔の気持ちがわき、現実逃避の思いから、倒れている祖母を放置してその場を離れ、飲酒し、自死しようと石で頭を叩いたり、海に飛び込むなどした。
「裸になれ」との考えが浮かび全裸になって徘徊。その後、祖母の遺体を隣家の空き家前まで移動させた。

▽ 午後7時頃
全裸で徘徊中、住民の通報で警察官に職務質問され、偽名を名乗り「3人組に襲われた」とうそを言った。任意同行後、祖母の殺害を自供。緊急逮捕。

被告の責任能力について

検察側は──
「被告人は精神障害の影響によって責任能力は著しく減退していたものの、完全に責任能力が喪失しているような状態ではなかった」として”心神耗弱状態だった”
弁護側は──
「被告は犯行時、善悪を判断する能力や犯行を思いとどまる能力が失われた”心神喪失の状態にあった”疑いが残る」

心身耗弱…精神障がいの影響で「善悪を判断する能力」「犯行を思いとどまる能力」が著しく低下
心神喪失…精神障がいの影響で「善悪を判断する能力」「犯行を思いとどまる能力」が失われていた