長崎県弁護士会(会長:岡田雄一郎弁護士)は22日、佐賀県警のDNA型鑑定不正行為について、独立した第三者機関による調査の実施や、全調査結果の公表を求める声明を発表しました。
不正行為は7年余りで130件
この問題は、佐賀県警の科学捜査研究所の技術職員が、7年余りにわたり実際には行っていないDNA型鑑定を行ったように装い虚偽の書類を作成するなどしていたものです。不正行為は130件確認され、うち16件の鑑定結果は証拠として佐賀地方検察庁に送られたということです 。
「科学鑑定への信頼を根幹から揺るがす」
長崎県弁護士会は、DNA型鑑定などの科学鑑定は刑事裁判の事実認定で重要な役割を果たしていると指摘。今回の不正行為は「科学鑑定に対する信頼を根幹から揺るがすもの」であると断じています。
また、捜査機関による虚偽証拠の作成は、憲法第31条が保障する「適正手続」をないがしろにし、証拠に基づいて事実認定を行う「証拠裁判主義」を妨げる、到底許されない行為であると非難しています。
「身内だけの結論」と批判
佐賀県警は、この不正行為について「捜査・公判への影響はなかった」と説明しています。
しかし弁護士会は、佐賀県議会が第三者による調査を求める決議を全会一致で行ったにもかかわらず、佐賀県警が「新たに調査機関を設置することは考えていない」として、第三者調査を拒否する態度に終始していると指摘。
「いわば身内だけで出された結論であり、公正及び透明性を欠いている」と厳しく批判し、警察庁が開始した特別監察についても、「同じ警察組織による内部的な調査にとどまり」、公正性や透明性が担保されるとはいえず不十分であるとしています。
全件公表と全国での調査を要求
声明は、失われた国民の刑事司法に対する信頼を回復するため、佐賀県警に対し以下の2点を強く求めています。
・不正行為を含む、当該技術職員が関与したDNA型鑑定すべてについて、事案の詳細と再鑑定結果を含む調査結果の全部を公表すること。
・独立性、透明性、専門性などを備えた第三者機関による調査を実施すること。
さらに、7年余りもの間不正が見過ごされてきたことは「職員個人の問題にとどまらず、警察の組織的、構造的な問題としてとらえるべき」とし、全国の都道府県警察においても、同様の不正行為や組織的・構造的な問題がないか確認を行うべきだと主張しています。














