痛い「鼻にグリグリ検査」以外もある

――検査の仕方にも変化が出てきています。「鼻にグリグリ」する検査だけでなく、インフルエンザ検査で判定をAIに任せる時代がきているそうです。喉の奥を撮影し、気泡のようなものをAIが画像で分析して判定するということです。AI検査のメリットは、痛みが少ない、判定が数分、そして保険適用されます。
(城戸康年教授)精度75%以上と言われていますが、精度が75%以上というのは、通常の鼻でグリグリってやる抗原検査とほぼ同程度だといえます。AIは感染症の分野に限らず、これまで「見た目で判断」ということは、熟練の医師が経験によりできてきたことが、広くいろんな人ができるというメリットで、これから発展が期待されるところではあります。
一方で考えなければならないのは車の自動運転と同じで、今までは診断した医師が責任を持ってやっていたわけですが、今度は自己検査をした場合には、一体誰に責任があるのかという問題は考えなければならないし、もう一つはそこに保険適用と書いてありますけれど、それがこれまでの従来の安い検査と、新しい検査を入れたときに、ちゃんと価格に付加できるのかと。
今までと同じ保険診療の点数しかなければ、(医療機関は)原価として安い方にしか行かないので、新しいテクノロジーをどこに使ったらメリットがあるんだろうとかを考えていかなければならないです。例えば鼻のグリグリの検査で出なくても、「早かったねと。多分明日すれば出てきたんでしょう」と、状況証拠で医師が考えて、薬を飲むに十分だという場合があります、皆さん経験されたことがあると思います。結局、検査は検査なんです。薬を飲むか飲まないか、判断は結局人間なのかなと。そこら辺は、AIと人間がどうやって付き合っていくかなというところかなと思います。(2023年11月8日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)
◎城戸康年:大阪公立大学大学院・教授 専門は感染症学・寄生虫学 コロナの治療薬開発や疫学調査に従事