■「盛り土があることを認識していなかった」現土地所有者B氏に直撃 

2011年2月、盛り土の土地はB氏がA氏から買い取った。現場には未だ安全対策が取られておらず、熱海市は措置命令を再び検討。しかし…


木柵による小さな水路。簡易的な排水設備が造られたのだ。これを根拠に、熱海市は安定性が確保できたとして、またも措置命令を出さなかった。B氏に所有権が移ってからも、崩壊までの10年間、抜本的な安全対策がとられることはなかった。

ーー違法な状態だが一定の安定性が確保されたのでそのままでいいと、市としてはパトロールでよしとしたということ?

斉藤栄 熱海市長
「まぁパトロール…一定程度の安定性が確保された以降、現場を確認しながらしておりましたので……していたという状況だと思います」

5月、B氏は熱海市議会の百条委員会に証人として呼ばれたが、「現地に行ったことはない。盛り土があることを認識していなかった」と証言した。

だが、B氏が市の職員と現場に何度も訪れたことを示す記録が残っている。市側は安全対策を要求したというが…


B氏を直撃した。

ーーお伺いしたいことがあって…
現在の所有者 B氏(85)
「失礼なことをするなよ」

ーー百条委員会も傍聴させていただいたが…
B氏

「そんなこと君の勝手だ」

ーーB氏の土地の盛り土が崩れたんですが、お答えいただけませんか?
B氏

「なんで答えなきゃいけないんだ」

ーーどこに責任があると思いますか?
B氏

「わからない」

ーー現場と食い違いがある。市の職員はB氏と立ち会っていると話しているが?
B氏

「…」

現場に行ったことがないとするB氏だが、2013年にはB氏の名前で「安全対策工事を施工する」と書かれた文書が県に提出されている。代理人は…
 
ーー現所有者B氏の責任は?

B氏の代理人 河合弘之弁護士
「法的には無いと考えている。そもそも買った時も、その後も盛り土があることも知らなかったし、盛り土が危険なこと、安全工事をする必要も知らなかった」