静岡県熱海市で土石流災害が発生して1年。違法な盛り土はどのように作られ、崩壊はなぜ止められなかったのか。そこにはずさんな工事をした業者と盛り土を放置した行政の“いびつな関係”がありました。

■「“盛り土”が被害を甚大化させた」責任を否定する業者ら

2021年7月3日に発生した、熱海土石流災害から1年。現場には大量の土砂が削り取られた跡が生々しく残る。死者(災害関連死含む)は27人にのぼり、今も1人が見つかっていない。


土石流の起点にあったのが、盛り土。規制を超える大量の土砂が違法に放置されていた。

静岡県 難波喬司副知事(当時)
「盛り土が(被害を)甚大化させたのはほぼ間違いないと思う」

土地の所有者は2人いた。最初の所有者がA氏だ。

A氏
「あくまで私は自分の真実を語っていく方法しかないですよ。これ(主張)を曲げることができない。えん罪を認めることになる」

A氏から土地を買い取ったB氏は、盛り土の存在すら知らなかったとしている。

責任を否定する2人。だが、危険性を訴える声は何度も上がっていた。なぜ土石流は防げなかったのか。

■なぜ熱海市は措置命令を出さず? 前土地所有者A氏と行政の“いびつな関係”

全国有数のリゾート地、熱海市。市街地から車で5分ほど行くと、土石流被害が起きた伊豆山地区がある。土石流の起点となったのは、2006年に小田原市の不動産会社が購入した場所。その代表・A氏が取材に応じた。

不動産会社代表 A氏(72)
「世界の熱海よ、いかにロマンチックな別荘地を造ろうかと僕は考えた」

A氏は伊豆山地区に高級リゾートを建てる夢を持ち、2007年に崩落現場周辺の土地開発に着手。宅地の造成に盛り土が必要だったという。

A氏が2007年に熱海市に提出した盛り土工事の届け出がある。高さは最大15m、面積は9446平方メートルと記されている。しかし、安全対策の欄には何も記入されていなかった。


熱海市は不備を分かっていながら届け出を受理。強く出られない事情があったという。

実は盛り土の近くには市の水道施設があり、その施設も、そこから伸びる水道管もA氏の土地に存在していたのだ。A氏のもとで働いていた男性は、熱海市とA氏の会社との関係をこう語る。


A氏のもとで働いていた男性
「私が聞いたのではこの水道施設を新たに別途に引いてくるのに30億かかると。自分の許可が下りないなら水道買い取れですよ。そうじゃなきゃもう即、水道切るぞと。それ言われたら職員の人どうするんですか」