新調する親船頭衣装 画題を探し生月・呼子へ

これまでの親船頭のトッポは夫婦岩に日輪が輝く神々しいデザインでした。
これに負けないモチーフは何か…?

長崎刺繍職人 嘉勢照太さん(71):
「これがね最初のイメージの起こしなんですよ。鯨の潮がここからバーッと出てきたらさぞ面白いだろうと思ったわけね」

忠実な再現の仕事から一転、なんでもありの開拓者の旅路へ。
博物館に通い、勇猛果敢な鯨漁を学びました。

「これはね親父の本なんですよ」

北斎の絵で、ずしんと不気味な鯨に心惹かれました。
「この不気味さ、これが面白いなと思ってね」

不気味で勇壮でユニークで…。
でもどこかもの悲しい鯨採りの『神髄』を衣装にしたい。


鯨は桐の板でがっしり作り、背中のポケットに『ひも』でつないで肩回りの動きやすさも追求しました。

着るのは諏訪小学校5年生 浅野正宗さん、10才です。
初めて衣装に袖を通します。

「…かたい」
「…かたい…おろしたばっかりやけんね。どうしても硬かさ」
「かたい…」
「腕ばこうしてみて?あがらん?」
「…いたっ」

(襟首の)潮が、刺さる…。

「こうやって柔らかくしてよかけん。これが邪魔…そこは何とか我慢して。なかよーなって鯨と」

親船頭 浅野正宗さん(10):
「ここら(背中)辺が重くて…あれで(演技)できるか不安でした」