鯛だけで1年半 29匹の復元に丸11年

嘉勢さん、この時50才。

長崎刺繍職人 嘉勢照太さん(2003年):
「(職人の)気持ちが入っているというんでしょうかね。怖いくらい気持ちが入ってまして。せっかくのチャンス頂きましたから精一杯やるしかない」

江戸時代に作られた万屋町の『魚』たちは絵師と縫師の合作でした。

たった一人の職人になってしまった嘉勢さんは、江戸期の絵師と同じように生きた魚を触って下絵を描き、江戸期の縫師の糸を追いながら、一針一針、忠実に再現していきました。

鯛だけで1年半。

29匹で丸11年。

丸々鮮やかに新調された魚尽くしは 前回の奉納で初披露され、次の100年へとこぎ出しました。

町は嘉勢さんの仕事を大いに認め、この奉納の後、すぐに新しい衣装の製作も依頼したのです。