世界陸上金メダリストの2冠が有力

女子棒高跳の李だけでなく、大会4日目にはアジア記録保持者が多数出場する。その中でも最も世界トップレベルで活躍しているのが、女子3000m障害のW.M.ヤヴィ(23、バーレーン)だ。8月の世界陸上ブダペストに8分54秒29の自己新で優勝すると、9月のダイヤモンドリーグ・ファイナルに8分50秒66の世界歴代2位、アジア記録で優勝した。

今大会はすでに、3日目の1500mに4分11秒65で優勝している。2日連続のレースになるが、2個目の金メダルは確実だろう。ペースメーカー不在のレース。ヤヴィが記録を狙うのか、終盤で圧倒的なスパートを見せるのか。いずれにしても、世界の走りを杭州でも披露する。

男子円盤投にはアジア記録の69m32を持つE.ハダディ(38、イラン)が出場する。勝てば5連勝となるが、シーズンベストは60m03で出場選手中6番目。金メダルは正直、厳しい。だが、今季アジア最高はM.イブラヒム(24、カタール)の63m26。ハダディがベテランの調整力を発揮し、今季一番の投げが杭州でできれば勝つことも不可能ではない。

大会4日目には男子200m決勝も行われる。この種目のアジア記録(19秒88・+0.9)を持つ謝 震業(30、中国)は今大会100mで優勝したが、200mには結局出場しなかった。日本からは上山紘輝(24、住友電工)と宇野勝翔󠄃(22、順大4年)が出場し、上山が準決勝2組2位(20秒77・-0.9)、宇野も1組4位(20秒77・+0.8)で決勝に進出した。上山は2組1位通過のF.オグノデ(32、カタール)と0.02秒差だった。全盛時の力はないが、オグノデは10、14年とアジア大会を2連覇した選手だ。

200mは記録に付記される風が向かい風でも、スタート直後は追い風で、序盤でスピードに乗ってタイムが出ることもある。一概に風の影響を論じられないが、上山が走った2組はホームストレートの向かい風が記録に影響した。昨年の世界陸上オレゴンでも自己新で走った選手。上山が国際大会の強さを発揮すればメダルも十分あり得る。

【陸上競技4日目(10月2日)決勝種目】
20時00分~ 女子棒高跳
20時10分~ 女子走幅跳
20時20分~ 女子3000m障害
20時40分~ 男子円盤投
20時45分~ 女子200m
20時55分~ 男子200m
21時15分~ 男子110mハードル
21時40分~ 男女混合4×400mリレー

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)