設備のバリアフリーが進んでも、心を通わせた手助けも忘れずに
葦原さんは去年、ファッションショーに出演するため、イタリア・ミラノに渡りました。葦原さんにとって初めての海外だったそう。
トークショーでは、現地で感じたことも語ってくれました。
「日本で地下鉄や電車を使うとき、乗り降りの援助の手配、駅員さんとのやり取りなど手間が多く、数本乗り遅れてしまうことが多い」
「自分一人で、乗り降りができたらいいのに」
葦原さんは、ずっとそう思っていたと話します。
そしてイタリアでは、駅の構内は段差が少なく、自由に操作できる昇降機も整備され、日本よりも障害者がひとりでも移動しやすい構造になっていたそうです。
ただ、設備の面で「便利」だなと感じる一方で、別な思いも頭をよぎったといいます。

「やってもらえる方が、ありがたかったかも…」
葦原さんのような外国人にとっては、イタリア語で掲示された説明文は理解できず、昇降機はどう使えばいいのか、そもそも自由に乗り降りしていいのか、わからなかったといいます。
ひとりで自由に移動できる反面、外国人などルールや習慣に不慣れな人にとっては、ぽつんと取り残される不安を感じてしまうかも知れません。
葦原さんは、さまざまな場面で「心のバリアフリー」という言葉を使っています。日本でも設備のバリアフリー化はどんどん進んでいますが、それでも、“あの車いすの人、大丈夫かな?”と見守ったり、困っていそうなときは積極的に声をかけたりと、心を通わせた手助けは、より大切にしていかなければと思いました。