「日常の風景にも障害者がいることを、自然に思ってほしい!」

 出版記念イベントは、名古屋、京都、渋谷、札幌の4都市で行われました。
 高齢の方から20代、30代の若者、車いすの人やよちよち歩きの子どもなど、約50人が集まった札幌の会場は、多様性に富んでいました。

 トークショーの冒頭で、今回の出版について、葦原さんはこんな思いを語ります。
 「私も当事者になるまで、障害者と接する機会がなかった」
 「だから、私も障害のある人の気持ちや視点がわからなかった」
 「だから『知る』ということで、その両者がフラットになると思うんです。障害のある人のことをもっと知ってほしいです」 
 これは、葦原さんが活動をする上で、一貫している思いです。 


 トークショーでは、これまで福祉関係のテレビ番組に出演してきた葦原さんに、“出てみたい番組はありますか?”という質問が会場からあがりました。
 葦原さんの回答は…
 「ドラマとか映画!」
 しかし、その次に出てきた言葉は、少し意外なものでした。
 「でも、『主演』じゃなくて『エキストラ』や『脇役』がいい」
 「主役の後ろの通行人の中に1人、車いすユーザーや障害者が混ざっているのがいいんです」

 確かに、現実ではよく見かける光景でも、なぜかフィクションの世界になると、あたかも健常者しかいない世界になっていることがほとんどです。
 「日常の風景にも障害者がいることを、自然に思ってほしい!」
 いつも輝いて見える葦原さんが、主役ではなく「脇役」になりたいと言った理由に、みんなの「そうだね」という心のつぶやきが聞こえた気がしました。
 
 “いつか“ではなく、葦原さんならあっという間にその目標を叶えてしまうんだろうな、と私は予感しています。