勝ち筋は「宇宙版シリコンバレー」

2023年6月、北海道大樹町の宇宙港「北海道スペースポート」を核としたある構想が発表され、数多くの地元企業が集まった。

小田切社長
「宇宙の仕事は、観光とか教育と非常に親和性が高いところもあります」

語られたのは「宇宙版シリコンバレー構想」。世界の事業者を誘致するために様々な産業を巻き込み、北海道に宇宙産業の集積地を作ろうというものだ。

北海道電力
「産業が集積されてきますと、エネルギー需要もセットでついてくるので、私どもにとっては商機になるのかなと」

小田切社長
「やっぱり起爆剤は、民間が始めて、そこに国とか自治体も気付いていただいて、それを一緒に大きくしていくのが、多分一番の早道かなと思っている」

実は、この牛も宇宙産業の一部だ。牛から「ロケットの燃料」を作っている。

サンエイ牧場 辻本正雄会長
「ぷくぷくしているのが見えると思うんですが、これがメタンが発生している状況です」

牛の糞尿を発酵させることでメタンガスが発生する。そのガスを集め液化することで、LNGとほぼ同質の燃料を作り出せるという。

サンエイ牧場 辻本正雄会長
「地元のロケットに使っていただけるのは、本当に夢のある話。宇宙産業で雇用もうまれ、人口が増えてきている」

この燃料は、大樹町を拠点にするインターステラテクノロジズの新型ロケットに使われる。北海道に、少しずつだが宇宙産業が根付き始めている。

「北海道スペースポート」には外国にはない強みがある。北海道の観光資源だ。世界の宇宙港は、砂漠の中にあるところが多い。

小田切社長
「町に帰って、温泉にも入れて美味しいご飯も食べられると。海外のお客様を呼ぶためのインセンティブはすごくあるなと」

産業を集積させ、観光資源を生かす。こうした独自の「宇宙の街」構想は、地元の若者らと、議論を重ね作り上げている。小田切氏は、宇宙港をつくることの意義をこう語った。

小田切社長
「この20年30年、何も伸びてこなかったっていうところに対して、若い皆さんに、日本はもっともっと元気がまだあって、何か自分たちでチャレンジして、自分たちでお金を作っていけるところを見せるのは、すごく大事だと思っていて、(Q.大樹は勝てますか?)大樹が勝たなければ、多分、日本は勝てないと思います」