日本の宇宙開発「失われた30年取り戻せる」

現在単身、北海道で生活を送る小田切氏。2年半前にスペースコタンの社長に就任した。

もともとは航空業界の出身。格安航空会社の社長を務めるなど日本の航空産業の発展に尽くしてきた。エアライン時代の苦い経験をこう振り返る。

小田切社長
「航空の世界では、アジアのハブ空港に日本はなれなかったんです。結局、韓国の仁川空港、香港、シンガポールとか、様々なアジアの空港がかなり充実してしまいまして、残念な結果になっています」

小田切氏は、宇宙ビジネスでは「同じ轍を踏んではいけない」と話す。

小田切社長
「せっかく今伸びる産業が目の前にあるので、まさにそこに日本人の得意な良い(ものづくりの)DNAを生かしていって。宇宙の仕事を通じて、様々な産業がもう1回広がって再定義されていくというふうに思っていますので、そうなれば、失われた30年取り戻せると思う」

2023年8月、小田切氏はアメリカに渡った。小型衛星に関する世界最大の展示会に参加し、北海道スペースポートを売り込むためだ。集まった200を超える世界の事業者。様々なロケットや衛星のモデル品が展示されていた。

小田切社長
「地の利が非常に恵まれているので、他と比べて優位性があることを伝えていきたい」

日本の宇宙港はどう思われているのか?世界の事業者に聞いた。

イギリスの会社
「(Q.日本に打ち上げ場があるの知っている?)ノー」

スウェーデンの会社
「JAXAの打ち上げ場しか知らない。商業宇宙港なんて知らない」

アメリカの会社
「日本で何ができるか、もっと広めないと」

アメリカ・フランスの会社
「日本の宇宙産業は、世界へ向けて十分な宣伝活動を行っていないのかも」

ほとんどの会社が圧倒的な信頼感を持つある企業と組み、アメリカからの打ち上げを選択しているのだ。その企業とは…

リトアニアの会社
「スペースX」

デンマークの会社
「スペースX」

スウェーデンの会社
「スペースX。今は打ち上げでは、スペースXが市場で一番安いんだ」

アメリカ・フランスの会社
「打ち上げを前もって計画できるから、今はスペースXが我々の答えだ」

小田切氏は、このままでは「IT産業のように出遅れしまう」と懸念する。

小田切社長
「生活の質が高まるツールは、アメリカからもらってきたり、買ってきたりってことになるので、宇宙開発を自国でやるその自律性、そこら辺をきっちり持つ必要がある」

4日間で、最終的にはおよそ10の事業者と商談を持ち、うち2社とは前向きな話ができているという。