10代の頃に同性愛者と気づくも家族や友人に打ち明けられず

長谷さんは1929年に香川県で生まれました。高等小学校を卒業するころに男性の先生を好きになり同性愛者だと初めて気が付きました。しかし当時は『同性愛は病気』として扱われていたといい、長谷さんは家族や友人には打ち明けられずにいました。

戦後は倉庫作業員や清掃員など11もの仕事を転々としました。しかし長年、自分が同性愛者であることは隠し続けて、好きな男性に思いを告白することもありませんでした。そんな長谷さんを受け入れてくれたのが「むすび」だったのです。

長谷さんは今、西成区にあるマンションの一室で一人暮らしをして、年金生活を送っています。元々は大阪府東大阪市に住んでいましたが、「むすび」の活動に参加しやすいように引っ越してきました。

部屋の壁には1人の男性の写真がありました。
(長谷さん)
「この写真は新聞に載っていたんだけど、この人の顔がええ顔で好きなのよ。これは明治時代の大臣か、それとも昭和か知らんけど、名前がわからへん。せやけどこの人の顔ええやろ?」
ずっと愛してきたのは男性。それだけに「むすび」で女性の役を演じているときに“本当の自分”になれたように感じたといいます。

(長谷さん)
「男は男だけど男になれないのよね。どっちかっていうと『半分男で半分女』そういう生活をしていたのよ。今のむすびの場合だったらみんなわかっている。私がゲイであること、女ではないけど女装して踊ったりするでしょ。それはみんなが認めてくれている」