【アラブ首長国連邦】
今大会のダークホース。もともと輸入選手が多く、ロンドン五輪後にはモルドバから有力5選手を一気に移籍させ、この中からヴィクトル・スクボルトフ(35)が2014年世界選手権73kg級銅メダル、セルジュ・トマ(36)がリオ五輪81kg級で銅メダルと大戦果を挙げました。今回は旧ソビエト圏から81kg級のヌグザリ・タタラシヴィリ(33、ジョージア)、90kg級のアラム・グリゴリアン(ロシア)、100kg級のジャファル・コストエフ(24、ロシア)らを獲得。五輪に準ずるレギュレーションのアジア大会は移籍選手出場のハードルが高いのですが、エントリーリストを見る限り、どうやら出場が認められるようです。どの選手も優勝となると難しいかもしれませんが、場を荒らす可能性は十分以上。

【キルギスタン】
身体能力が高く、業師タイプが多いスタン系の上昇株。現在の強者は男子60kg級のクバニチュベク・アイベク=ウール(22)と、男子90kg級のエルラン・シェロフ(25)。

【北朝鮮】
近年はまったく国際大会に参加しておらず。選手の情報がほぼありません。国際大会を通じて情報が行きわたり、選手同士が「互いの柔道を知っている」ことを前提に試合を組み立てる現代柔道競技にあってはまさに異色。不気味な存在です。

【トルクメニスタン】
2023年3月から、元コマツ監督で1999年バーミンガム世界選手権60㎏級銀メダリストの徳野和彦氏(49)が代表監督として就任。ロス五輪までの6年計画で強化を始めています。まだこれという強豪は出てきていませんが、予算が潤沢で、国際合宿などは皆勤の模様。注目しておきたい国です。

【台湾】
男子60kg級で東京五輪銀メダルのヤン・ユンウェイ(25)、女子57kg級には日本のコマツ所属のレン・チェンリン(35)と2人のメダル候補を擁します。もと66kg級日本代表で、今回女子63kg級の日本代表を務める髙市未来選手(29、コマツ)のパートナー、髙市賢悟氏(30)がコーチを務めることも話題です。

【カンボジア】
元アジア選手権王者で鹿屋体育大で教授を務めた濱田初幸氏(68)が代表監督に就任、ウクライナ選手を難民として受け入れるなど、バイタリティ溢れる活動を行っています。相撲の田子ノ浦部屋でトレーナーを務める宇野晋太郎氏(37)が帰化、今回も73kg級代表としてエントリーしています。

次回は各階級の展望をお話ししたいと思います。

(TEXT by 古田英毅)

【柔道日程】
24日 女子48kg級、女子52kg級、男子60kg級、男子66kg級
25日 女子57kg級、女子63kg級、女子70kg級、男子73kg級、男子81kg級
26日 女子78kg級、女子78kg超級、男子90kg級、男子100kg級、男子100kg級
27日 混合団体

※写真は前回ジャカルタ大会の73kg級で優勝した大野将平