“最終手段” その先に待つ壁

住居や食事が与えられる、更生緊急保護の活用というのは、いわば最終手段。あまり無いケースだ。

事件を担当した弁護士に話を聞いた。

今回の裁判のように、社会復帰を前提とした判決が予想される場合、弁護側は再犯防止を見据えた主張が重要となる。

ただ“一般論”との前置きをした上で、弁護士は続ける。

「身寄りのない人の場合、特に住所確保のハードルが高い。例えば、ホームレスのような人物に部屋を貸してくれる人は少ない」

身寄りのない人が逮捕・起訴されても、住居があったり、また確保の見通しがあったりすれば、社会復帰後に生活保護などで暮らしを立て直していくことを法廷で主張できる。

だが、男性は実家を離れ「住所不定」の身。

生活保護を申請するにしても、住所は必要になる。この壁は、かなり大きい」

生活保護の先にある“最終手段”。それが、住居などが与えられる更生緊急保護なのだ。