ウクライナ侵攻を続けるロシアに対し制裁を強化する西側諸国。中心はEUとNATOだが、その足並みは必ずしも揃ってはいない。EUが打ち出したエネルギー制裁は、ハンガリーの反対によって思うようには進まない。NATOにおいてはスウェーデンとフィンランドの加盟申請がトルコの反対によって進展せずにいる。EUの異端児・ハンガリー。NATOの異端児・トルコ。中でもトルコは、ロシアも西側も手を焼きながらも決別はできない特別な存在だという。今回はそのトルコの存在と狙いを読み解いた。

■「どこともうまくいかないが、どことでも話ができる国」


中世、隆盛を誇ったオスマン帝国の中心…など歴史を紐解けば世界的にも重要な国ではあろうが、現代においてトルコがどうして西側諸国からもロシアからも重要視されるのだろうか?

森本敏 元防衛大臣
「なぜトルコにみんな注目するのか、それは国の置かれている戦略的位置だと思う。とにかくこの国をどちらが味方につけるかが重要な位置にある。中東、湾岸、中央アジアと黒海があってすべての中心に位置する。さらにそこにはインジルリクという空軍基地がある。アメリカはこれをフルに使っている。この地域で作戦をするときに一番便利な基地なんです。(中略)地球儀の中で極めて重要な戦略的位置であることがトルコの今日を決めている」

さらに黒海を囲む国はトルコ領に挟まれた狭いボスボラス海峡とダーダネルス海峡を通らねば海路で外に出ることができない。その管轄は1936年のモントール条約でトルコに付与されているのだ。現にロシアがウクライナに侵攻してすぐにトルコは軍艦の通行を認めない宣言をしたのだ。こうした地政学的位置によってトルコはロシアにも西側にも強い姿勢で存在感を維持できる。

森本敏 元防衛大臣
「しかもトルコは西側もロシアも思った通りにはできない。どちらの陣営からも巧くいかない。(西側とロシア)どちらとも仲良くはない。(首脳会談するからって)ロシアとトルコが関係がいいなんてとんでもない。オスマン帝国時代、不凍港を求めて南進するロシア帝国は仇敵だった。ウクライナともとんでもないです。そう見えるだけであって、どこともうまく行かない。が、どことも話ができる国、それがトルコなんです」

ちなみに言えば日本はトルコといい関係を保っている。もちろん日本の外交的努力もあろうが、それ以上にトルコが日本を好きだという…。

森本敏 元防衛大臣
「トルコはロシアに歴史的恨みがある。その大国ロシアに日露戦争で勝ったってことで、ロシアに勝った唯一の国・日本っていうのは憧れの国なんです。だからものすごく大事にしてくれる」