教育委員会による調査は「いじめとは判断できない」
友人関係で悩んでいた息子はいじめられていたのではないか―。
遺族の依頼を受け、教育委員会と学校が実施したアンケート調査や聞き取りから、生徒が一部の友人らから過去の失敗を揶揄されたり、宿題の未提出を巡って仲間はずれにされたりしていたことが分かりました。しかし、教育委員会が出した結論は、「いじめがあったとは判断できない」というものでした。アンケート結果と聞き取り内容にずれがあることなどが理由でした。

生徒の父親
「(教育委員会から)『これで調査は最後です』と言われ、これで終わりなのかと。アンケート結果を見るとどうしてもいじめがあったように感じました。『今後、どうしたらいいんでしょうか、第三者委員会の設置はどこに言えば良いのでしょうか』と尋ねて、はじめて『(教育委員会から)では設置しましょう』ということになりました」
遺族の要望を受け、市は有識者からなる「調査委員会」を設置。調査は去年4月から続けられ、報告書が今月7日に公表されました。

調査委員会が「いじめ」を認定 学校の対応を問題視
調査委員会の報告書は、次の3つの事実を「いじめ」と認定しました。
▼生徒の過去の失敗について噂になり、数人から揶揄されるような呼び方や仲間はずれがあった
▼生徒の宿題未提出について執拗に注意が繰り返され、生徒がいる場所から友人らが一斉に逃げるなどの仲間はずれがあった。LINEグループが消され、個人LINEがブロックされた。
▼誹謗中傷の言葉をかけられた。LINEで生徒をバカにするようなスタンプが送られた。

報告書では黒塗りにされていましたが、友人らから「お前は嫌われているけん、こっちに来るな」「自殺したらいいのに」という内容の発言があったことも認められています(関係者への取材による)。

父親は、いじめが認められたことについて「正直言って驚いた」と語りました。
生徒の父親
「教育委員会の調査結果もあったので、調査委員会の報告書についても、半分あきらめていました。(いじめが)認定されることはないのだろうと。そうだとしても一区切りになれば良いと思っていました。だからこそ驚いたし、私たち家族にとってようやく一つの答えを得ることができました」
報告書は、学校の対応についても厳しく問題視しました。生徒からの訴えを「軽視」し、関係生徒への聞き取りなどを行わず、いじめに「気づく機会があったと考えられるがその機会を逸し、特段の対応をおこなった形跡が見当たらなかった」としました。

生徒の父親
「これまでうやむやだったものが息子本人の心情をくみ取っていただいた。息子には『辛かったね、苦しかったね、痛かったね、ごめんね。認定がとれたよ』と仏前に報告しました」

最後に、調査委員会は生徒の死亡について、いじめの内容や時期などを総合的に考えると、「関連性が認められる」と結論づけました。