弁護側「人生をもてあそぶ闇の人物への対抗手段で反撃」

対する弁護側は、冒頭陳述で「青葉被告にとってこの事件は起こすことしかなかった」「人生を弄ぶ闇の人物への対抗手段で反撃だった」と反論した。

まず、これまでの生い立ちなどについて説明があった。中学時代は、人に話しかけられられたり、人が寄ってきたりすることから、人のいない道をあえて選んで通学していたという。

《20~28歳のころ》
コンビニでアルバイトをしていたが、人間関係で行き詰まり、その後、窃盗や住居侵入の事件を起こす。一時、離婚した母親と暮らしていたが、気持ちが乱れていった。

《30歳のころ》
アルバイトとして働いていた郵便局を数か月で辞める。前科が知られたからだ。この時期、『日本の財政破綻が救われ、政治家の運命が変わる』などとする内容のメールを財務大臣に送っていた。

《31歳のころ》
京都アニメーション作品の原作に感銘を受け、自らも小説を書き始めた。そしてその内容をインターネットの掲示板に投稿すると、ライトノベルの編集者から「すごいものをみせてくれた」と言われ、一目を置かれた。

《38歳の時》
小説を書き始め、京アニ大賞に2作品を応募。作品の1つを応募したその日、京アニの女性監督が更新したブログを読み、この女性監督が自分の小説を読んだと思った。作品が落選した3か月後、女性監督がブログを更新したが、この内容を読み、青葉被告は混乱する。自分の応募した小説に使われていたアイデアが書かれていたからだった。「“闇の人物”と京アニが一体となって、嫌がらせをしてきている」と思うようになる。

その後の2018年、何気なくテレビを見ていると、京アニ作品が放送されていた。しかし作品中に、自分が応募した小説のアイデアが使われていた。これに対し、「これも盗まれていたのか。どうやっても、“闇の人物”と京アニから逃れられないのか」と、もがき苦しむことになった。

2019年6月、『これで京アニも“闇の人物”も思い知るだろう』と、埼玉県の大宮駅前で大量殺人を計画。しかし、未遂に終わる。