2013年の発言との温度差
宮城県 村井嘉浩知事:
「作ってほしいのに作ってもらえなかった。これは調べてみたら町の海岸なので、町長さんに聞いてもらえればと思います、はい」(2021年2月)

確かに南三陸町が管理する海岸なので、知事に聞くことは適切ではないと言われればそれまでですが、2013年の発言との温度差にやや拍子抜けしたことを覚えています。
今、宮城県では「4病院再編構想」を巡り議論が紛糾しています。4つの病院を2か所に再編し「適正配置」する構想。計画通り進めば仙台市内から2つの病院が姿を消します。また、精神医療の基幹病院「県立精神医療センター」は、30キロ以上離れた場所に移転することになり、患者や医療関係者から異論が相次いでいます。

8月31日に開かれた県の精神保健福祉審議会で村井知事は有識者たちを前に「実現できなければ(知事を)辞めなければならない。私を止められるのは県議会だけだ」と語気を強め政策を推し進めることを強調しました。その力強い言葉は、震災2年後の防潮堤に関するあのインタビューを彷彿とさせるものでした。
4病院再編構想がどのような結末を辿るのか現時点ではわかりませんが、仮に構想が実現すれば、病院が無くなった地域の住民からは不安や戸惑いの声が上がり続けると予想されます。そんな声に対し「それは地元の自治体が考えることですので、あとは市長さんに聞いてください」といった突き放した対応はせずに寄り添う姿勢を示してほしいと切に願うばかりです。

10年前の防潮堤論争については、いまだに被災地に「しこり」を残しています。ある漁師は自らに言い聞かせるようにこう語っていました。「できてしまったものは仕方ない、受け入れるしかない」。
「移転してしまったんだから仕方ない。受け入れるしかない」こう言い聞かせるような結末にだけはなってほしくないものです。