会計検査院の報告書に記された総事業費

その後、取材を進めたところ、会計検査院の2017年4月の報告書で宮城県の防潮堤の総事業費を見つけることができました。

約7255億円。

会計検査院によると各自治体から聞き取り集約した数字とのこと。例えば仙台市に2015年に開業した地下鉄東西線の総事業費は約3000億円と言われていますので地下鉄2つ分の費用ということになります。

この数字を報じたところ、後日、県の担当者から電話がかかってきて「あの数字はどこで調べたのですか」と逆取材を受けたことがありました。防潮堤整備がいかに巨額な工事かわかるエピソードだと思います。巨額を投じた防潮堤は、数十年から百数十年に一度の津波を防ぐことができると言いますが、東日本大震災クラスの最大級の津波は防ぐことができません。「避難」が原則であることは変わりません。

そして、この巨額な計画では急いで進めたためか、わずかな「ほころび」が見られます。