宮城県で議論が紛糾している仙台医療圏の「4病院再編構想」何としてでも構想を実現したい宮城県の村井嘉浩知事。10年前に紛糾した防潮堤論争との“共通点”とは?村井知事「実現できなければ辞める」4病院再編問題の村井流政策実現は「強い覚悟」それともただの「逆切れ」か 思い出す10年前の防潮堤論争【前編】からの続きです。

思い出される「防潮堤論争」

宮城県で紛糾している「4病院再編構想」。4つの病院を2か所に再編して仙台市の周辺自治体に「適正配置」する構想ですが、病院が無くなる地域の住民や医療関係者から反発が強まっています。そんな中、実現に強い意欲を示す村井嘉浩知事から飛び出したのが「実現できないなら(知事を)辞めなければならない」という進退発言。思い起こしたのが10年前の被災地の「防潮堤論争」でした。

今から10年前の2013年、東日本大震災の復興事業が本格化した宮城県の沿岸部では「巨大防潮堤」を巡り紛糾が続いていました。県の計画は、沿岸の232.8キロにわたりコンクリートの防潮堤を整備するもので、その高さは最大14.7メートル(5階建てビルに相当)。

もちろん、津波から街を守るための大切なインフラですが、歴史的に海と密接な暮らしをしてきた人たちにとって、海と陸とをさえぎる巨大な壁は簡単には受け入れ難いものでした。観光業者や商店主からは景観が損なわれることに対して、漁師からは海が見えにくくなり波の高さや船の様子を確認できなくなることに対して不安の声が上がっていました。

一方、村井知事は「命を守るため必要」「防潮堤の高さを決めなければ復興に着手できない」と譲らず議論は平行線をたどっていました。

現在、宮城県内で議論が紛糾している「4病院再編構想」とは異なるテーマですが、知事と市民が対峙するという構図はとても似ているように思います。