■円安は「1ドル140円台、150円近くまで進む可能性」
ーー円安はどこまで・・・
140円台までいくんじゃないかと思いますね・・・150円に非常に近いところまで円安が進む可能性はあると思いますね。
ーーそうなった時の日本経済への影響は?
まあ、どちらかというと、いまの日本経済にとっては「円高」の方がプラスですから、円安が物価上昇につながったりとか、あまり・・・それほど・・・大きなダメージじゃないと思いますけど、あまり望ましいという状況ではないと思いますね。

■「非常に優秀でまじめな人」“後輩”黒田総裁の頭の中は?
ーー黒田総裁の最近の発言はストレート過ぎて、もう少し方針変更があるかも?と思わせた方が円安進行のスピードが遅くなるのではと考えてしまうが?
「理由がある円安だ」ということは黒田さんはわかっていると思います。だから、それほど大きな危機感を持っているという状況ではないと思いますね。アメリカの金融政策と日本の金融政策はかなり違うので、それでドル高・円安になっているということで、誰が聞いてもこれは明快にわかりますからね。円安になっても、それほど心配しているという状況ではないと思います。日本の金融政策が変われば、円高になるわけですから、そういう状況がしばらくすると来る可能性もあるわけで・・・
黒田さんは金融緩和を任期中はずっと続けていくつもりだと思いますよ。それは黒田さんなりの判断があって・・・要するに日本経済が景気回復の途上にあるけれども、その景気回復を後押ししなければならない。後押しするためには金融緩和を続けなければならない。というかなりはっきりした、「確信」があるので金融緩和を続けているんだと思いますね。
だからもちろん、円高に持っていくためには「金融引き締め」をしないといけないのですが、少なくとも黒田さんの任期中、来年の3月までは金融緩和は続けるでしょうね・・・
ーーそれ以降は?
それ以降は・・・その次の日銀総裁の意向にもよるんですけど、それ以降、例えば日本経済が「過熱」してきて、インフレが加速するっていうようなことが起こってきた場合には、「金融引き締め」をやる可能性はありますよね。だからまあ、いまの状況だと次の総裁がおそらく判断するんでしょうね・・・インフレが加速して、日本経済が過熱状況にあるんだったら、金融引き締めをやるというようなことになるかもしれませんね。そうなってくると欧米がいま引き締めをしていますから、日本も欧米と同じように引き締めをすることになりますから、まあ円安が止まると・・・そこそこの円高になってくる。そういうことだと思います。
ーー早ければ、それが来年の夏くらい?
そうですね、黒田さんの任期が3月までですからね、来年の春以降、次の総裁が、その時の経済状況にもよるわけですが、その時に日本経済が回復している、あるいはインフレ気味になっているということであれば、金融引き締めやると思います・・・まあ、いずれにせよ。黒田総裁の時期ではなくて、次期総裁の判断ということに委ねられるんだと思いますね。
ーー黒田総裁とはどんな人物なのか?
僕が財務官の時、彼(黒田総裁)は国際金融局長で、僕の後、彼が財務官になったわけですよね。黒田さんというのは非常に優秀な真面目な人ですよ。本なんか読むのが好きで、学校にいた時に図書館の本、全部読んだという逸話が・・・それは嘘だと思うけど(笑)そんな逸話があるくらいで、非常に本は好きでしたね。一緒に出張して飛行機に乗ると、僕は大体お酒を飲んで寝てしまうけど、彼はいつも本を読んでいました。