「そこらじゅうに死人の山があった」。関東大震災で最大の犠牲者を出した「本所被服廠跡」。奇跡的に生き残った人の証言テープが見つかりました。震災の経験を語った生々しい証言とは?
広い空き地に避難したのに・・・火災旋風の脅威

9月1日、関東大震災から100年を迎え、犠牲者を悼む大法要が営まれました。関東大震災では10万5000人が犠牲に。この慰霊堂には、5万8000人の遺骨が納められています。
慰霊堂があるこの公園は100年前、「本所被服廠跡」と呼ばれる、東京ドーム1.5倍もの大きさの空き地でした。多くの人が避難したこの場所で、最大の悲劇が起きました。

周囲の木造住宅から火の手が迫り、避難者が持ち込んだ家財道具に次々と引火。火災旋風が発生し、約3万8000人が焼け死んだのです。この火災旋風に巻き込まれた人たちの証言が、残されていました。
証言テープの女性
「『なんか火がついてきたぞ』っていう声も聞こえました。燃えるのが早かったですね。火の手の回りが。みんなが逃げているうちに、今度は竜巻ですね。何しろ薪を積み込んだようなものですからね。あの中(被服廠跡)はみんなの荷物が入りましてね」
168本ものカセットテープには、約200人の証言が収められています。1990年に、東京大学大学院の廣井脩教授(故人)が聞き取ったものです。