7月に開幕する世界陸上オレゴンの代表選考を兼ねた日本選手権(9日~12日、大阪・ヤンマースタジアム長居)の2日目・女子1500m決勝で3連覇を果たし、代表に内定した田中希実(22・豊田自動織機)について、シドニー五輪金メダリストの高橋尚子さんが「世界のラストスパートと戦える」と期待した。

高橋さんは「(田中は)確実なレースをしたなという印象です。3位に入れば、世界陸上が内定ということで、初めからハイペースで飛ばすのではなく、レースを見るというような非常に冷静な走りだった」とレースを振り返った。

「(周りの選手は)田中さんの動向をすごく気にしている部分もあったので、非常にスローペースになったなとは思います」。レースの主導権を握っていた田中に対し「競らない中でも、非常にハイペースで切り替えられたというのは、世界のラストスパートと戦えるような切れがあったように感じます」と今後の可能性に期待を込め、ラストの400mの切り替えについても「(世界陸上代表内定の)権利をただ取りにいくということだけではなくて、そのレースの中にしっかりポイントを持って走ることで、“最後のキレ”というところでも自信を持てたのかなと思います」と評価した。

「やはり今回の世界陸上でも4分を切るというところに挑むとするならば、総合的に一つの試合で全ての要素を盛り込んでいくという難しさはあるんですが、課題を持って取り組むことで1段ずつステップアップしていると思いますので、まだまだ楽しみな存在だと思います」と語り、世界陸上に挑む田中に向けてエールを送った。

今大会、田中は800mと5000mにもエントリーしている。決勝の間隔は約70分と過酷なスケジュールだが高橋さんは「明日からの800m、5000mという非常に過酷なこのスケジュールの中で権利を取ろうと思っているのは、やっぱり精神的なたくましさを感じます」。さらに「短時間の間に800m、5000mに挑む体力であったり、精神的な強さというのは、必ず世界に行ったときに自信になるものだと思う」とチャレンジ精神を絶賛した。