「捕虜たちに考える力を」若者たちが武器を捨てるには
共感は確実に広がっていた。永井さんとともに収容所での取り組みを行うスタッフのアムガッド。

NGOアクセプト・インターナショナル アムガット・シャルガビさん
「正直に言うけど最初は彼らのことが怖かった。普通に話せなかった。彼らは戦闘員でしたから。でもだんだんと彼らは人間だと感じるようになった。過ちを犯したのは間違った教育のせいです」
収容所を運営する政府関係者から永井さんの活動への理解を得るのも一苦労だった。当初は支援活動を装ったスパイ活動ではないかと警戒された。
タイズ情報局長官 アブド・アル・ブヘイリ氏
「国際機関には時に別の意図がある。それから我々にはどうしようもできないことを要求してきたりする。でもこのNGOは協力しやすくて、紛争解決という目的がはっきりしている」
この日、永井さんたちは、収容所に置くための本を買いに出た。イエメンや他の地域のことを知り、捕虜たちに考える力をつけてほしいという目的がある。
日本の漫画も置いてあった。『はだしのゲン』も。収容所の中に新しく図書コーナーを作った。

NGOアクセプト・インターナショナル アムガットさん
「本に興味があったら見てごらん」
捕虜
「見てもいいいの?」
NGOアクセプト・インターナショナル アムガットさん
「もちろん読んでもいいよ」
永井さんは捕虜の若者のカウンセリングを行うことにした。各勢力間で行われる捕虜交換で、フーシ派側に戻ることができたのだが、彼はイエメン政府側に留まることを選んだ。

捕虜
「フーシ派側に行くことができたけど、嫌だと言ったんです」
永井陽右さん
「釈放とか捕虜交換の時、政府側に留まりたいという人がいるなら、私たちはそれを実現しないと。戻ったらフーシ派に強制的に徴兵されてしまう。釈放されたら何をしたい?」
捕虜
「整備士です」
永井陽右さん
「何の整備士?」
捕虜
「バイクの整備士です」
永井陽右さん
「あなたは本当は戦闘に加わりたくはなかった?」
捕虜
「友達についていったらフーシ派に入らされたんです」
NGOアクセプト・インターナショナル アムガットさん
「若かったんだね」
捕虜
「そうです」
軽い気持ちでフーシ派に入った彼は、前線で負傷し辞めると決めた。
永井陽右さん
「彼のように前線に行った人はいろんな経験をし、考えを変えた。彼は今、自分自身の意見を持っている。それはイエメンの平和にとって明るい可能性だと思う。イエメンの平和を考えたり、実際にあなたと会うと、私はそう感じる」