“世論を聞きすぎ”の岸田総理に麻生・茂木が進言「資格確認書で対応できる」

『岸田さんは聞く力と言われるが、今回は完全に世論を“聞きすぎ”だ』(自民党関係者)

なかなか定まらない方針が固まったのは、総理が会見を行う3日前、8月1日のことだった。岸田総理が向かった先は、自民党本部4階の総裁室。政権を中心で支える麻生副総裁、茂木幹事長の2人と会合が行われた。

関係者によると、2人は総理に対し、『保険証の廃止延長は法改正があるから厳しい』『資格確認書で良いじゃないか』と助言したという。会合を終え、自民党総裁室から出てきた岸田総理の顔は、決意が固まった、吹っ切れた表情に見えた。

デジタル化は進むのか 「資格確認書」有効期限5年にデジ庁関係者「変な併存許す」

紆余曲折を経て、来年秋にいまの保険証を廃止し、マイナンバーカードと一本化する方針を当面維持することを決断した岸田総理。「資格確認書」は、マイナ保険証を保有していない人に全員に交付し、有効期限を最長5年に延長する意向を示した。

今回の決着について、あるデジタル庁関係者は『資格確認書を今の保険証のように常用するのは制度の予定するところではない。“変な併存”を許してしまう』と、デジタル化の遅れを心配する。

岸田総理は会見で、2020年に自身が党の政調会長を務めていた際、デジタル化の遅れで、新型コロナの支援金など、給付がスムーズに出来なかったエピソードを披露し『デジタル敗戦を二度と繰り返してはならない』と力強く決意を示した。

日本のデジタル化の遅れを取り戻すとの想いで政策を進めてきたのならば、マイナンバーをめぐる諸課題に対する国民の不安を完全に払拭し、その意義を今後も丁寧に説明することが求められる。

TBSテレビ政治部 与党クラブ 長田ゆり