たった1日だったが世界の注目を集めたロシアで起きた“プリゴジンの乱”。一時はプーチン大統領から反逆者と呼ばれたが、その後も、ワグネルの創設者プリゴジン氏はどうも自由なようだ。サンクトペテルブルクで開催されたアフリカ諸国との首脳会議の際も、中央アフリカの高官と明るい表情で写真を撮るなど健在ぶりをアピールしている。果たして、ワグネルという組織、今どうなっているのか。

一に国益 金はその後…

ロシアのジャーナリスト アッバス・ジュマさん
「ワグネルはロシアの国益が無ければ、戦ったりすることはありません。彼らは、唯一の目的をもって戦っています。ロシアを偉大な国にすることです」

こう語るのは、ロシアの国際関係を専門としているジャーナリスト、アッバス・ジュマさん。ロシアの国営メディアでたびたび記事を載せている、いわゆる“プーチン政権寄り”の記者だ。ワグネルについても長年取材していて、“プリゴジンの乱”に参加したワグネルの指揮官にインタビューもしている。

ロシアのジャーナリスト アッバス・ジュマさん
「インタビューした指揮官は、『これは反乱ではなく、クーデターの試みでもなかった』と何度も強調していました。彼も、プリゴジンも、クレムリンに行くつもりは一切ありませんでした。彼らに対して公正ではない行動をとっていた人との
関係をはっきりさせたかっただけです。これは私の言葉ではなく、ワグネルの指揮官と隊員がそう答えているんです」

ワグネルはアフリカや中東など各国の紛争でもその名をとどろかせた組織。これまではロシアが公式に存在を認めたことはなかったが、ウクライナ戦争と“プリゴジンの乱”で半ばプーチン大統領の“別班”であることが公になった形だ。その彼らが戦う理由について、一つの法則があるという。

ロシアのジャーナリスト アッバス・ジュマさん
「彼らはただお金のため戦っているのではなく、愛国心の気持ちがあるから戦っているのです。彼らには、『思想』があり、お金のために、どんな紛争にでも介入するわけではありません。まず、何よりもロシアはその紛争に関係があるかどうか考えます。ロシアの国益につながるかどうかです。その次に、いくらもらえるかを見るわけです」

ワグネルはウクライナ戦争で囚人を刑務所からリクルートして戦場に送っている。戦場にいた兵士が愛国心のために戦っていたのだろうか…“政権寄り”でワグネルとも近い関係の記者の言葉なので、差し引いて考えなければならない部分もあるかもしれない。