「この瞬間までロンドンにいたかった」とニュースを見るたびに思いました。私が数か月前まで住んでいたイギリスは、エリザベス女王の在位70年を祝う祝賀行事「プラチナ・ジュビリー」で盛り上がりました。イギリスに住んでみて感じたのは、伝統ある王室の意外な距離の近さでした。(取材・執筆:TBSアナウンサー岡村仁美)

■「プラチナ・ジュビリー」に沸くイギリス

ロンドン中心部でのパレードやコンサートをはじめ、イギリス各地でお祝いのランチが開催されるなど数えきれないほどのイベントが行われた「プラチナ・ジュビリー」。中でもコンサートのオープニングで披露された女王が人気のくまのキャラクター「パディントン」とお茶をする動画にはくすっと笑いつつも感心してしまいました。女王がハンドバッグからにこやかにサンドイッチを取り出す演技までしてしまうユーモアに溢れた演出で、女王に可愛らしさまで感じてしまいます。

TheRoyalFamilyインスタグラムより

ロンドンで生活をしていて感じたのは、やはりイギリス人にとって王室はすごく身近にあるといういうこと。たとえば、今回の「プラチナ・ジュビリー」でも、イギリスのブランドのティーカップはもちろんのこと、スーパーのお菓子コーナーにまで記念グッズが並んでいます。私がロンドンにいた今年の始めからすでに色々なところで記念グッズを目にしました。かく言う私も、ロンドンにいる夫にこのマグカップを買ってきてなどと頼んでいるところです。

記念グッズに限らず、普段から王室に関わるものに囲まれているのがイギリスでの生活でした。スーパーで日常的に買う数百円のお菓子や調味料にも「王室御用達」のマークがついているものがあります。わが家では2歳の娘たちがエリザベス女王を題材にした絵本を読んでいました。

■観光地でも感じる「身近な王室」

ケンジントン宮殿を散策する岡村アナウンサー


以前、記者として宮内庁の担当をしていたこともあってイギリス王室に興味があり、イギリス在住中に王室に関わる様々な場所を訪れました。バッキンガム宮殿、ウィンザー城、ケンジントン宮殿・・挙げればきりがありません。

スコットランドのホリールード宮殿を訪れた時には、実際に今でも女王が滞在中に使うというダイニングまで観光客に公開しているのが新鮮でした。皇室の担当をしていた時には、担当記者も皇族方のプライベートな食事の空間というものは目にすることがなかったからです。

去年4月には、エリザベス女王の夫フィリップ殿下が亡くなりました。この時は街中に哀悼のメッセージとフィリップ殿下の写真が掲げられていました。殿下の葬儀はウィンザー城の敷地内の教会で営まれたのですが、私が昨年末にこの教会を訪れたときにガイドの方に話を聞くと、「フィリップはここにいる」と、観光客がその上を歩き回る床下を案内されました。その時は特に殿下が眠ることを示す表示もなく、「いずれ女王と一緒にお墓を作るんですよ」と事もなげに説明されたのにも驚きました。天皇皇后のお墓である大きな陵のイメージからはかけ離れています。

このように王室に関する観光地を訪れるだけでも、王室との距離の近さというものを感じることが頻繁にありました。