■SNSも活用し発信を続ける その背景には・・・

クリスマスに女王がテレビで国民に語りかけるクリスマスメッセージも印象に残っています。例年は一年に起きたことを振り返るのですが、去年はそのほとんどで殿下への思いを話していました。そんなところからも女王の人柄を垣間見ることができたような気がしました。

そもそもクリスマスメッセージのテレビでの放送は、1957年にエリザベス女王が始めたものです。その中では「私はこの新しいテレビ放映によるクリスマスメッセージがより個人的かつ直接的に届くことを望んでいます」と「身近な王室」への願いをこめて語っていました。

TheRoyalFamilyインスタグラムより


もちろん王室への逆風も数々あり、君主制そのものへの支持率も若年層を中心に低迷しています。去年はヘンリー王子とメガン妃の王室離脱も大きなニュースとなりました。普段は情報番組などで同じ話題を繰り返し取り上げることが少ないと感じるイギリスのテレビでも、この時は連日取り上げていました。王室内から人種差別的な発言があったというインタビューは、多様性を大切にしているイギリス社会にとっては大きな衝撃だったように感じました。

そんな中でも、王室はとにかくまめに発信をしています。公式HP以外にもSNSも活用し、インスタグラムだけでも、エリザベス女王・チャールズ皇太子・ウィリアム王子がそれぞれアカウントを持っていて、頻繁に投稿しています。女王のインスタグラムのフォロワー数は1000万人を超えています。過去には女王自らが投稿したこともあるほどです。この積極的な発信のきっかけとなったのは、ダイアナ元妃が亡くなったときに女王が沈黙を続け、批判されたことだったとも言われています。

コロナの影響で現地を訪れての公務ができない中でも、オンラインでの交流を頻繁に続け、それを王室の側から発信し続けることで、存在感を薄れさせていなかったように思います。

エリザベス女王の在位70年という長い年月で、メディア環境だけでも次々と変わる中、「身近な王室」を目指してそれぞれの時代に柔軟に対応してきたことも、今回の記念行事の盛り上がりにも繋がっているのではないでしょうか。