髪を切りに来た6歳の男の子 警戒して車から降りられず

 2022年12月。この日、初めてお店で髪を切る男の子がやってきます。けれども、姿が見えません。赤松さんは駐車場の方へ見に行きます。

 (赤松さん)「車から出ない?いいですよ。…げんちゃん、こんにちは」
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 げんきくん、6歳。知的障がいを伴う自閉スペクトラム症の男の子です。これまで美容室に行ったことはありません。げんきくんは初めての場所を警戒して車から降りることさえできません。
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 (母親)「(お店に)まず入れるまでにどれくらい時間がかかるか…」
 (赤松さん)「ちょっとずつ練習から入りましょうか。お店に入る練習。でもね、お母さんはそれくらいの気持ちでいてくれたらいいんですよ。ゆっくりいきましょう。きょうはとりあえず仲良くなること」
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  (赤松さん)「がんばれ、がんばれ。(手に)タッチできる?」
 (げんきくん)「(手にタッチする)」
  (赤松さん)「タッチできたー!えいえいえおー!」

 そして…50分かけて車から降りることができました。

 (赤松隆滋さん)
 「きょうはこれで終わりにします。時間がかかるかもしれんけど、無理やり切って嫌がるんじゃなくて、大丈夫とわかればできる子なんで。今後それでやっていきたいなと」
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 外へ出ても子どもの障がいを理解されず、母親はげんきくんが自宅で寝てる間に髪の毛を切っていました。そんな時、インターネットで赤松さんの存在を知ります。しかし、半年以上も予約することをためらいました。

 (げんきくんの母親)
 「育てていると、謝ることが多い。どこに行っても迷惑かけてごめんなさいって。やっぱりそういう気持ちってどこかにあって。嫌がったらどうしようとか、美容師さんも嫌やろうなとか思ってしまったり、そういう気持ちがどこかで勝っちゃう」