子や孫を対象にした一回目の調査結果が発表 、救済の行方は?
今年1月に行われたカネミ倉庫と被害者、国による「三者協議」。年2回、救済について協議している。子や孫世代への救済も議題には上るが、進展しない。
記者
「次世代の方への健康被害をどう受け止めていますか?」

カネミ倉庫 加藤社長
「それは私どもが判断することではなくて、油症班なりが判断するので、僕らはコメントする立場にない」
PCBは、国も認可した「夢の化合物」だった。安全性が確かめられることなく、国内で6万トンが製造された。
被害者は、国にも責任があるとして公的救済を求めているが、国は「民間企業が起こした事件」だとする立場を崩さない。

農水省
「医療費の支払いは原因事業者である『カネミ倉庫』の責務。カネミ倉庫の方で支払う努力をするべき」
事件発覚から、今年で55年。放置されてきた次世代。被害者の長年にわたる要望活動を受け、国はおととし、初の調査に着手した。1200人を超えるとみられる認定患者の子ども、さらに孫世代に、どんな症状が出ているかを調べ、次世代の健康被害を明らかにする。
油症二世 下田恵さん(34)
「苦しんでいる人たちがいっぱいいるのに、進まない。どうにかできないかという(次世代の苦しみが)いっぱい出てきていたので、今回の調査で少しでもいい方向に前進できたらと思っている」
カネミ油症の子どもや孫を対象にした1回目の結果報告が、6月23日に行われた。
生まれつき唇やあごに裂け目がある「口唇口蓋裂」については、『次世代に多い傾向がある』という。一方、『頭痛や全身倦怠感などの症状だけではカネミ油症とは言えない』とした。血中ダイオキシン類濃度が高くない限り、今のところ、因果関係を証明できないというのだ。

カネミ油症認定患者 森田安子さん(69)
「相変わらずだなと。救済なんて程遠いと思います。どれくらいの代まで被害が続くかと思ったら、やりきれない。『先生分かってください』って、『助けるという簡単なことが何故できないんですか?』って」

カネミ油症認定患者 下田順子さん(62)
「症状を持っている次世代がたくさんいる。それを分かってもらいたい。(調査票に)書いている一つ一つの文字が、子どもたちの『助けてほしい』という思い、必死になって書いていると思う。次世代の調査として、きちんと受け止めてほしい」