メイマンド村

この辺りは比較的柔らかい凝灰岩の地層で、それを掘って作った洞窟住居が400も軒を連ね、大地が集合住宅化しているのです。

番組では洞窟住居の内部を撮影させてもらったのですが、こちらも意外なほど広く、間取りも複雑。ほとんどの家に人が暮らす部屋とは別に、倉庫や家畜小屋があります。必要になったら、壁を掘れば部屋は増やせるので、間取りは自由自在なのです。

洞窟の住居

この洞窟は冬用の住居で、遊牧民である彼らは春になると大平原へ、夏は涼しい山へと羊や山羊と共に移動し、季節ごとに住む家を変えていきます。洞窟住居は厳しい冬を過ごすため、火が焚かれる囲炉裏があり、その煤と煮炊きで出る脂で壁や天井は真っ黒です。しかしこの煤と脂が壁をコーティングし、雨水やひび割れから守っているのだといいます。

家の中の囲炉裏
壁と天井が煤で真っ黒

「火を焚かないと、家はダメになってしまう」と遊牧民は語り、その言葉通り人が住まなくなった洞窟住居は崩れ落ちてしまっていました。この世界遺産も人が住み、火を使うことで守られてきたものだったのです。ここの遊牧民はかつて拝火教=ゾロアスター教を信仰していました。洞窟住居を見ると、火を崇めてきたこともうなずけます。

日本の世界遺産、「白川郷・五箇山の合掌造り集落」

三番目は日本の世界遺産、「白川郷・五箇山の合掌造り集落」です。富山県と岐阜県を流れる庄川沿いの集落で、三角屋根が特徴の合掌造りの家々が立ち並びます。さまざまな知恵が詰まっているのが、この合掌造り。