東日本大震災による津波で高田町にあった稽古場と人形などの道具、そして大切な仲間3人を失ってしまったのです。
 それでも馬場さんたちの人形劇への思いは変わることはありませんでした。

(馬場さん)
「なんだかこのままで終われないっていうような気持ちになったんですね。まだ余裕もなかったんですけれども、仮設にいましたし、仲間たちもいっぱい仮設暮らししてましたし」

 まだ震災の爪痕が色濃く残る中、馬場さんたちは再始動に向けて動き出します。

(馬場さん)
「2011年の秋に残った仲間たちに声をかけて集まったのが実はここだったんです。震災後初めてみんなで集まったのがここで、そこの第2会議室ってところだったん
ですけど、そこでみんなの気持ちを確かめ合ってまたやろうっていうことで」


 震災を乗り越え、再開した人形劇。メンバーたちは5月初旬から仕事や家事の合間を縫って30周年記念公演に向けた練習を重ねてきました。
 公演には転勤などで地元を離れた元メンバーの姿もありました。

(元メンバー 石川直子さん)
「転勤族でたまたま高田に来て誘われて入ったところだったんです。いやー、懐かしい。工藤さん、工藤さんの作ったの」

 元メンバーで花巻市から駆け付けた石川直子さんが手にしているのは、津波の犠牲になった仲間が生前作ってくれた木工細工。かわいらしい家族の絵に優しい人柄が現れています。石川さんは木工細工を手に人形劇に見入っていました。


「子どもたちの反応も聞こえたので、面白かったって言ってたので、私も本当だよねって思いました。見ながら工藤さん見てる?って話しかけながら見たんですけども、とっても喜んでると思います」

 様々な偶然から東日本大震災の月命日と重なった30周年記念公演は、みんなが笑顔になる素晴らしい公演になりました。

(人形劇グループ「ポレポレ」 馬場幸子さん)
「ポレポレの活動を続けることですね、できる限り。そして子どもと一緒に楽しくやっていきたいです」

 「ポレポレ」はこれからも子どもたちに笑顔を届けていきます。

「ポレポレポレポレポレポレポレポレ さようなら~♪」
「みなさん、さようなら」
「さようならー」