岩手県陸前高田市の人形劇グループが6月11日、結成30周年を記念する公演を行いました。東日本大震災の津波で稽古場や仲間を失う苦難を乗り越え、子どもたちに笑顔を届けています。


「ぼくたち、ねずみ四きょうだい。チュー。チュー。チュー。チュー。シー。お母さんと一緒に住んでるよ、チュー」

 11日、陸前高田市米崎町のコミュニティセンターで人形劇グループ「ポレポレ」の30周年を記念する公演が行われました。披露したのは絵本を元にした新作「番ねずみのヤカちゃん」です。

「ブッブー」
「音を立てちゃダメ」
「そう、音を立てたらドドさんたちに聞こえてしまうからね。わかったかい?」
「うん、わかったよ、お母さん」
「うん、わかったよ、お母さん」
「うん、わかったよ、お母さん」
「うん、わかったよ、お母さん!」
「しっ、静かに」

 人間のドドさんの家に隠れて住むネズミの家族。末っ子のヤカちゃんは声が大きく、その存在がドドさん夫婦に見つかってしまいます。
 ネズミ捕りのワナを仕掛けられたり、猫を飼われたりしてピンチを迎えたヤカちゃんですが…。

「どろぼーう!」
「うわー」
「それ、僕の食べるチーズだぞ!」
「助けてくれー」
「なんだなんだなんだ?」

 家に忍び込んだ泥棒をヤカちゃんが大声で撃退!それに感謝したドドさん夫妻は毎日チーズを用意し、ヤカちゃんも泥棒が入らないようにしっかり番をするようになったという物語です。
 陸前高田市を中心に集まった8人のメンバーが繰り広げる人形劇に集まった人たちは楽しい時間を過ごしました。


(人形劇グループ「ポレポレ」 馬場幸子さん)
「ホッとしました。初めてのお子さんがたくさんで。あと大人の方は前にも見たことがある方がたくさん来てくださって。なんかお客さんの前でやるのが久しぶりだったのでとっても嬉しかったです」


 代表の馬場幸子さんは柔らかな表情で30周年記念公演を振り返りました。
 ポレポレは1992年に発足した劇団です。

(馬場さん)
「花巻のおはなしキャラバンさんの人形劇見たのが初めてだったんですけどそれがとっても楽しかったんです。で、わたしもやりたいなぁと。子どももとっても喜んでましたし。子どもも喜ぶし、わたしも楽しくなってやってみたいなって思ったのがきっかけです」

 きっかけは子どもの喜ぶ姿。地元の子どもたちのためにとスタートし、陸前高田市を中心に保育所や小学校、図書館などで人形劇を披露してきましたが…