【量刑の理由の骨子】
〇本件事故により、14名の尊い命が奪われ、乗客26名が重軽傷を負う非常に重大で悲惨な結果が生じた。被告人両名は、業務上、関係法令を遵守し、輸送の安全確保という最も重要で基本的な注意義務を誠実に果たすべき責任ある立場にあったのであり、その刑事責任は重い。
荒井被告は、バス事業部の責任者として運行管理業務を担っていたのに、職務を誠実に果たさず、杜撰な実態を誤魔化し、事故を発生させたという点で、厳しく非難されるべきである。荒井被告の過失は、悪質かつ非常に重大であり、監督過失とはいえ、結果への寄与度が相当大きかった。
高橋被告は、輸送の安全確保の最終的責任を負う立場にあったのに、目先の利益を優先して杜撰な運行管理業務を放置し、事故を発生させたという点で、荒井被告を指導する唯一の監督者として、厳しく非難されるべきである。高橋被告の過失は、相当に重く、結果に対する寄与度も大きかった。
なお、事故の直接的原因は、バスを運転していた運転手の運転ミスにあるが、被告人両名の責任が大きく減じられるものとはいえない。
〇事故で死亡した乗客13名は、いずれも大学生で、無限に広がる未来を一瞬にして閉ざされたのであり、無念さは察するに余りある。我が子に先立たれた親の悲しみは計り知れない。事故で遺族の人生まで大きく狂わされ、一命を取り留めた被害者の多くも多大な肉体的及び精神的苦痛を受けた。交替運転手の家族も事故は防げたとの思いを抱いている。
〇一方、荒井被告は、その場しのぎの様子が見受けられ、高橋被告は、荒井被告に任せていたと知らぬ存ぜぬの供述を繰り返し、いずれも自身の刑事賞任の重さに十分向き合っているとはいえない。
〇事故後、遺族や被害者らの多くが厳重な処罰を望み、あるいは、我が子を失った現実を受け入れられない中、被害者参加人が裁判でイーエスピーの杜撰な実態や、被告人らの責任逃れの供述を目の当たりにして、更に峻烈な処罰感情を抱いたのも当然である。こうした道族や被害者の心情は、量刑に当たり真摯に受け止めて判断すべきであると思料する。
〇他方、同社がこれまでに被害者らに損害賠償を行い、今も示談等を進めており、被告人両名に前科がなかったこと等は、両名の量刑上考慮すべき事情であるといえる。
〇本件の過失及び被害の重大さによれば、被告人両名の刑事責任は重く、実刑事案である。両名の過失内容や非難の程度に加え、監督過失の刑事責任が問われた他事案の量刑も考慮し、主文のとおりの刑を定めた。
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